与党圧勝に終わった衆議院総選挙で株価は高値を追うか?と思いきや、選挙明けの株式市場は大幅下落から始まった。高値を追う最近の株式市場に警戒感もあったが、一番の原因は原油価格の値下りが世界経済のリスク要因と考えられたからだ。
原油価格(国際指標のWTI)は、半年前6月頃に1バレル100ドル超だったものが、12月17日時点では一時54ドルと約半値に下落。米国経済は力強い回復を示しても、欧州や日本・中国の経済が低迷していて新興国を含めた原油需要が減少。一方で11月に開催されたOPEC会合で原油の減産が見送られ、今後もしばらく需給関係の改善がないとの観測が強まり、値下りに拍車がかかっている。
原油価格の下落は、消費国である先進国経済にとって朗報だが、産油国経済、特に財政における原油依存度が高いロシアやノルウェー、ベネズエラなどにとって打撃になる。ロシアはウクライナ問題で欧米から経済制裁を受けている最中で、来年はマイナス成長と予測される。ベネズエラに至ってはデフォルトも懸念される事態だ。グローバル化した世界経済では、原油価格の下落が本来は景気上昇要因にもかかわらず、『逆オイルショック』現象になって金融市場を攪乱している。
株式市場は、NYダウも日経平均も最近一月の上げ幅の半値水準まで下落。リスクオフを目指す投資資金は、安全資産とみられる円に流れ込み、一時121円台/ドルだった為替レートは一気に115円台まで巻き戻す荒っぽい展開に。このような金融市場の状況では、新たな投資は手控えて様子を見たいと考えるのも無理はない。
しかし、某社のCMではないが、「今年のNISA(枠)は今年だけ(で使わない分は失効してしまう)」。タイミングを計ることはプロでも難しく、もともと長期積立投資を始めるのならば、余り神経質にタイミングを気にする必要もないのだ。さらに、年末に発表される税制改正で、再来年以降のNISA枠が拡大される予定もある。
来年度の税制改正には、NISAの投資額を年間100万円から120万円に拡大し、新たに年間80万円を限度に20歳未満を対象にした『子供版NISA』の創設を認めるように金融庁が求めている。この要望は2016年から実現する可能性が高いので、相続対策も兼ねて子や孫の将来を見据えた無理のない範囲で、NISAを始めておくのに充分な理由がある訳だ。
経営者や経営幹部の皆様には、NISAに限らず非課税制度を漏らさず活用して頂きたい。
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