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社員教育・営業

第72講 クレームは担当者の話し方しだい、聴き方しだいでひどくもなり収まりもする

クレーム対応 実践マニュアル

クレームはおわびの思いだけで対応するのではなくテクニックを使って対応する(2)
クレームは担当者の話し方しだい、聴き方しだいでひどくもなり収まりもする
(※秀和システム刊 『ポケット図解 クレーム対応のポイントがわかる本』より、一部抜粋と加筆)
 

【その1】会話の前半は『お申し出者にしゃべらせる』、つまり『担当者はしゃべらない』

企業に連絡をしてきた人は、自分の手元の製品の状態や、自分の困っている思い、自分の考えをたくさん話したいから連絡してきたのです。だから『しゃべらせてあげる』こと。
会話の前半の担当者は『相槌』と『質問』をするだけ。お申し出者がしゃべり尽きてからしゃべる。

クレーム対応が成功するか失敗するかの鍵をにぎっている最もわかりやすいテクニックに、お申し出者のお話しを聞き尽くしたか、聞き尽くさないうちに説明に入ったか、という問題があります。後者の態度をとれば、当然このクレーム対応は失敗します。なぜなら、企業に連絡をしてきたお客様は、自分の手元にある製品の不具合状況、そのことで被っているお困りごと、そしてどのような対応を望んでいるかの話を担当者にたくさん聞いてもらいたいから連絡をしてきたのです。たくさん聞いてもらいたくない人は、製品のホームページを見たり、取り扱い説明書や契約書をしっかりと見て、自分で結論を出すものです。また企業側に気づかれないように競合の製品に乗り換えたりしているものです。連絡をしてきた人の思いを理解して対応するなら、まずはお申し出者にしゃべらせることです。

お申し出者から投げかける「?」に短絡的に回答しない。自動的に『説明』にならないように注意。

ところが、つい担当者の方がしゃべりすぎてしまうという場面が発生してしまいます。その原因は、お申し出者にはしゃべっている時に担当者に「?」を頻繁に投げかける癖があり、その「?」に担当者が実直に回答をしてしまうことにあります。たとえば「なんでこんな表示にしているのですか?!」や「他のお客様からもクレーム出ていませんか?」と聞かれ、すぐさま「それはですね」や「他のお客様からは」などと答えてしまうことです。それは企業側の『説明』がここから自動的に始まり、相手がしゃべるタイミングを奪うことになるのです。



【その2】『お詫び』言いすぎない『お礼』言いすぎない『お願い』しすぎない

『「申し訳ございません」と「ありがとうございます」と「お願いいたします」を一言いうたびに相手は1センチづつ反り返る』と言われています。
相手を『傲慢なお申し出者』にするかしないかは、担当者の『お詫び』と『お礼』と『お願い』の回数

クレーム対応のエキスパート達の中では、『「申し訳ございません」は一回の対応時に3回までが限度。4回以上の「申し訳ございません」は逃げ口実。「ありがとうございます」は一回の対応時に3回までが限度。4回以上の「ありがとうございます」は社交辞令』と言われています。つまり「申し訳ございません」と「ありがとうございます」を頻度高く使ってしまうと、相手はその安易な使い方に偉そうになり苛立ち、その結果理不尽なことを言ってくる可能性が高まるということです。また、「お願いいたします」という言葉も本当に無理なことをお願いしなければならない場合に使うのであって、迎合しておきたい気持ちにかられて「現品を拝見させていただきたいのですがお願いします」などと使うのは間違いです。現品拝見は対応の手順の一つなのですからお願いしなくて良いのです。

でも、『クールな対応を!と言っているのではありません!』勘違いをするとまたこじれます。

だからといって『クールな対応をしましょう』と言っているのではありません。その思いを違う言葉で言う事をしなければならないと言っているのです。たとえば『申し訳ございません』を「お恥ずかしいお話しで・・」「つくづく力不足だと・・」や『ありがとうございます』を「勉強になります」や「光栄なお話しです」というお客様の自尊心をくすぐる言葉で返すことが大切なのです。『お願いいたします』は「さしつかえますでしょうか」や「さしさわりございますでしょうか」と言い換えるのが言いやすく、好ましいでしょう。



【その3】お客様が満足するクレーム対応を目指すのではなく、自分が爽快な気持ちで終われるクレーム対応を目指す。

最後にお申し出者が「ありがとう」や「ながながと時間をとらせてごめんなさい」や「ぐずぐず言ってごめんなさい」や「また買うからね」や「次買った時にはこんなことがないように頑張ってください」などと嬉しい言葉を言って終わってくれるためには、そう言っていただくための対応手順があります。その手順のテーマとなるのはお申し出者が対応時に最も過敏にこだわる『この担当者が自分の考えや思いを理解しようとしてくれているか』ということです。つまり『親身な担当者だなあ』と感じることができるかどうかということになりますが、そう感じていただくためにはそれなりのテクニックを使った対応が必要です。なにしろ、担当者自身、クレーム対応の時点ではのどかな気持ちで対応はできないのですから、テクニックに手伝ってもらい、お互いが望む穏やかな対応で運び、和やかな結果にたどり着くことを目指してください。
そのためには『親身な担当者だと感じられる対応・7つの手順』を守って実践することをお勧めします。

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中村友妃子          

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