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第85回
“蒸留階級”の洋酒ならぬ《邦酒》ブーム到来?
~日本のスピリッツが世界を酔わせる時が来た!~

次の売れ筋をつかむ術

 

 
お酒の中でもスピリッツ(蒸留酒)は1クラス上の“蒸留階級”がたしなむものだ。
 
醸造酒を熱で気化して冷やして造る蒸留酒は、ハードリカーとも呼ばれるように、アルコール度数が高く、お酒を愛する大人のためのお酒である。
 
 
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代表的な蒸留酒には、ウイスキー、ブランデー、コニャック、ジン、ウォッカ、テキーラ、グラッパ、ラム、アルマニャック、カルヴァドスなどがある。
 
日本の、芋・麦・米・黒糖などを原料にして造る焼酎も蒸留酒だ。沖縄の泡盛も米から造る焼酎の一種だと言える。
 
もちろん、焼酎でも水割りやお湯割りにしたり、ウイスキーも水割りや炭酸で割ってハイボールで醸造酒くらいの度数にすれば飲みやすくなる。
 
明治以降、スピリッツ(蒸留酒)と言えば、外国産の舶来品と相場が決まっていた。
 
また、焼酎は日本酒と並ぶ国酒であるものの、消費は日本国内に限られていた。
 
しかし、昨今、日本の蔵人の高い志によって、技術的にも飛躍的進歩を遂げ、いよいよ、日本のスピリッツが世界を酔わせる時代が到来しつつあるのだ!
 
 
 
●洋酒ならぬ《邦酒》ブーム到来!
 
「洋酒」ならぬ「邦酒」と呼ぶべき、新たなお酒のジャンルが生まれ、着実に生産量・販売量ともに増加している。
 
「邦酒」とは私の造語で、2006年に、(公社)日本マーケティング協会において発表した新しいお酒の呼称だ。
 
洋楽に対する邦楽のように、日本のメーカーが主に日本の素材を使用して日本国内で蒸留または醸造して造った、海外が発祥の酒類のことである。
 
一言で言えば、「邦酒」とは日本製洋酒のことで、近年、国内外で人気を博し、生産量・販売量が着実に増加している。
 
洋楽に対する邦楽と同様に、「邦酒」、つまり、日本製のワインやウイスキー、スピリッツなどが世界的に高い評価を得て逆上陸し、日本国内でも人気を博しているのだ。
 
日本産のワインが海外でも評価が高まっていることは広く知られるようになって来た。
 
しかし、近頃は、この「邦酒」の中でも、製造コストがかかり、またその国ごとの歴史・伝統・文化に根差していて、なかなか他国産の製品が認められにくい、日本製のスピリッツ(蒸留酒)が世界の市場で受け入れられるようになりつつあるのだ。
 
 
 
●「邦酒」が86年の年月を経て世界の天王山で悲願の勝利
 
もともとの技術は欧米発祥でも日本車を外車とは呼ばないように、日本の食文化に根付いたビールを今や洋酒とは呼ばないように、日本製ウイスキーを洋酒と呼ぶのはもうやめよう。
 
なぜなら、洋酒ならぬ「邦酒」である日本製ウイスキーを世界の本場が認めているからだ。
 
サントリーの「山崎シングルモルト・シェリーカスク2013」が、ウイスキーの世界的ガイドブックである英国の「ウイスキー・バイブル」(2015年版)において、歴代最高点と並ぶ100点中97.5点で、日本製の「邦酒」として初めて世界最高のウイスキーに選出されたのだ。
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同じく、英国で開催された世界的な酒類コンペティション「第19回インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)2014」でも、「山崎18年」をはじめサントリー酒類で製造された9種類の「邦酒」が金賞を受賞した。
 
世界トップのウイスキーブレンダーなどプロフェッショナル11名が、エントリーされた400以上のウイスキーをブランド名を伏せてブラインドテイスティングして賞を決定するという、こちらも権威ある賞である。
 
「山崎」とは日本のウイスキーが誕生した地の地名だ。山崎は、元来、雌雄を決する勝負や勝敗の分かれ目を意味する「天王山」の成句の元となった古戦場として知られている。
 
備中高松城の攻城戦から引き返してきた羽柴秀吉軍が、本能寺の変で織田信長を亡き者にした明智光秀を討った摂津国(現在の大阪府の一部)と山城国(現在の京都府の一部)の境に位置する。
 
丘陵地が平野に迫り、麓に桂川、宇治川、木津川が合流点する山崎は、古来より交通の要衝であると同時に、名水が湧き出す地として名高い。この地にある、日本における製油発祥の地でもある離宮八幡宮には石清水(いわしみず)の名の元となった湧き水があった。
 
また、JR西日本東海道線の山崎駅前の妙喜庵には千利休の作による国宝の茶室「待庵」(たいあん)が現存している。
 
この歴史的、水質的に天から賜わった王たる山に、現・サントリーホールディングスの前身である寿屋の鳥井信治郎社長が、1924年(大正13年)、日本初のウイスキーを蒸留する工場、「山崎蒸留所」を開設した。
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 そして、世界大恐慌の前年の1928年(昭和3年)、この地から本邦初のウイスキー「サントリー白札」が誕生した。それから86年の年月を経て、ついに日本のウイスキーが世界の頂点に立った。
 
もはや「洋酒」ではない。「邦酒」が世界の天王山で勝利を収めたのだ。
 
 
 
●日本が誇る「邦酒」界のイチロー「イチローズモルト」
 
世界の“蒸留階級”を魅了する「邦酒」は、サントリーなど大手企業だけが造っている訳ではない。
 
日本が誇る「邦酒」界のイチロー「イチローズモルト」は、2004年に埼玉県秩父市に設立された、その名も「ベンチャーウイスキー」製の逸品である。
 
 
 
※以下、《お酒買取専門店ファイブニーズ「お酒の豆知識」》より引用させていただきます。
 
■自然に育まれた世界最高峰のウイスキー
 
「ベンチャーウイスキー」の創業者は肥土伊知郎(あくといちろう)氏。
 
肥土氏の実家は古くから続く老舗の酒蔵ですが、肥土氏の父が経営に携わっていた埼玉県羽生市にある東亜酒造が、関西の酒造メーカーに売却され、その傘下に組することになりました。
 
そして、営業譲渡した先から付き突きつけられたのはウイスキー造りからの撤退、さらに「熟成中の約4000樽の原酒を廃棄する」という条件でした。
 
これに、肥土氏は「我が子を捨てるような事は出来ない」と原酒を預かってくれる企業を探し、苦労の末に福島県の「笹の川酒造」に原酒を預かってもらう許可を得ました。
 
その後、その原酒を元にウイスキーの販売を行う会社として、2004年9月にベンチャーウイスキー社を立ち上げました。そして、2007年には秩父市に新蒸留所を設立したのです。
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肥土氏は日本中のBARを訪ね、地道な営業と調査活動を重ねてウイスキーの本場スコットランドにも視察に行き、ウイスキー造りを学びながら、自前の蒸留所を立ち上げる準備を進めます。
 
土地や施設、ウイスキーの製造設備にはこだわり、わずかな形の違いで味が変わってしまうのでポッドスチル(蒸留器)はスコットランドのメーカーから直接輸入したそうです。
 
また、ウイスキーの原材料を発酵させる発酵槽には、日本古来の木材である「ミズナラ」を採用。「ミズナラ」の丸太を肥土氏自ら北海道に買い付けに行き、樽職人がパンチョン樽に加工し、自社のシングルモルトを貯蔵するという独自の方法を用いています。
 
世界5大ウイスキーとして数えられるジャパニーズウイスキーですが、ウイスキーを製造・販売している会社は、サントリーやニッカという大企業以外では日本でも数カ所となっています。
 
「ベンチャーウイスキー」は、大手と比べれば小規模な蒸留所ですが、自然に恵まれた風土と独自の製法を用いて、最高級のウイスキーを造りあげることで世界から注目される存在になったのです。
 
 
 
■完売必至!?マニアが欲しがる「イチローズ・モルト」
 
「ベンチャーウイスキー」が造るブランド「イチローズ・モルト」どんな商品なのか?
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イチローズ・モルト カードシリーズ「キング オブ ダイヤモンズ」 は、世界100カ国以上で愛読されているウイスキー専門誌『ウイスキーマガジン』のジャパニーズモルト特集で最高の「ゴールドアワード」に選ばれました。
 
さらに、世界最高のウイスキーを決めるWWA(ワールド・ウイスキー・アワード)では、2007年以降5年連続でカテゴリー別日本一という栄冠に輝き、その名は世界のウイスキー愛好家に知られています。
 
また、その希少性から全シリーズを集めたいというマニアも存在し、どうしても見つけられない商品のために、はるばるスウェーデンから秩父にある蒸留所まで訪ねてきた人もいるそうです。
 
 
 
●「西郷どん」の気概を彷彿させる佐多宗二商店の「赤屋根スピリッツ」
 
「邦酒」が世界の“蒸留階級”を酔わせる時代が到来する中、日本の国酒である焼酎の志ある蔵が黙って見ているはずがない。
 
りゅうじんは、1998年に、鹿児島県庁から、当時、焼酎の消費が低迷する中、酒税が上がることへの具体的な対策を共に考えてもらいたいとの依頼を受け、県内の蔵元にお集まりいただき、鹿児島県本格焼酎マーケティング研究会を結成し、座長を務めせていただいた。
 
そして、蔵の皆さまとともに、首都圏を中心とする大都市部における、県産焼酎のPR、セールスプロモーション、販売チャネル開発のお手伝いをさせていただいた。
 
結果、鹿児島県産の芋焼酎・黒糖焼酎は全国的に大ブレイクし、りゅうじんは知事からマグマ大使ならぬ「薩摩大使」の称号をいただいた。
 
その時からの長きにわたる戦友で敬愛する佐多宗公氏が蔵人の代表を務める「佐多宗二(さたそうじ)商店」が、ついにやってくれた!
 
 
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「佐多宗二商店」は、伊能忠敬をして“日本一の絶景”と評させた薩摩富士(開聞岳)を望む、鹿児島県南九州市頴娃町(えいちょう)に蔵を構える。
 
 
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1908年(明治41年)創業の老舗の蒸留所で、芋焼酎の「晴耕雨読」、「不二才」(ぶにせ)、「刀」、日本から最初に海外に輸出された梅酒「角玉(かくたま)梅酒」などで知られている。
 
それらの味と香りの素晴らしさは、最年少の27歳でソムリエの世界チャンピオンに輝いたエンリコ・ベルナルド氏も絶賛し、蔵まで足を運んだほどだ。
 
この佐多の蔵が生み出した「赤屋根シリーズ」のスピリッツを一口飲んでみて、まさにこれからの日本発の「邦酒」の醍醐味を感じた。
 
 
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「ある時はジン?ある時はブランデー?またある時はグラッパ、いや、ウイスキーか?して、その正体は!?焼酎???」
 
 
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我が国に数機しかない、各国の蒸留酒が古くから造られて来た原始的な間接加熱蒸留器で蒸留された、これらの焼酎は"懐かしい未来の国酒"だ。
 
 
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これらの酒は、幕末、フランス・パリの万国博覧会に、江戸幕府と並んで出展した薩摩藩が如き意気と粋を感じる。
 
まさに「WAZZE=わっぜ!」=薩摩弁で「超スゴイ!」
「わっぜー、おもしてか!」(超おもしろい!)「わっぜー、んまか!」(超うまい!)
 
西郷隆盛の生涯を描く、2018年のNHK大河ドラマ「西郷どん」(せごどん)は、この酒をあおりながら、「チェスト!」と雄叫びを上げながら見るべきだ。
 
佐多氏が蒸留について記した以下の文には「邦酒」にかける熱い想いが詰まっている。
 
 
私が、20年前、焼酎の世界に入ったときは「焼酎は蒸留するから何でもいっしょだよ」という時代でした。
私は、これからの焼酎の世界は「焼酎は蒸留するから酒質の幅が広がる」という時代の扉を開けたいと思っております。
その時代によってとりまく環境と物を見る角度により、その時代の「真実」は変化するのだと思います。
「焼酎は蒸留するから酒質の幅が広がる」というちょっと長い名前の扉ですが、その扉を開ける力を貸していただければ幸いと思います。
 
蔵人代表 佐多 宗公
 
 
「邦酒」が“クール・ジャパン”の一翼を担い、世界を酔わせる時が来た。
 
日の丸スピリッツである「邦酒」のグラスを傾けつつ、日本人のスピリッツ(大和魂)を胸に秘め、「邦酒」が如く、世界のルールで戦って世界に勝つ戦略を立てようではないか!
 
 

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