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マネジメント

第5回 人を評価するモノサシ

社長の右腕をつくる 人と組織を動かす

日本陸軍に、辻政信という参謀がいた。

彼ほど毀誉褒貶(キヨホウヘン。※事務局注:評価の良くも悪くも)相半ばする人生を送った軍人は、稀である。

軍には「考課表」と呼ばれる勤務評定があり、
全将校は上官から直接に評価され、その内容は、定期的に陸軍大臣に報告されたものという。

東条英機・関東軍参謀長の彼に対する評価は「辻大尉は、戦場活動じつに勇敢、かつ適切であって、
将来、わが陸軍の至宝たり得る人物なり」…である。

かと思うと、青木漢口参謀長の評定は、
「辻少佐は、協調性欠如、自我強烈にして、将来、中央部の要職には絶対に充用すべからざる人物である」…。

この二つの評価、好評と酷評の両極論だが、どちらが当たっているのか判らない。
どちらも“それなりに”正しいかもしれないし、両方とも間違っているの かもしれない。


  ことほどさように、「評価」というものは、評価する側によって差が出てしまうもののよう である。


こうしてみると、評価が評価として普遍性を伴った意味を持つためには、
事前に“評価基準=評価の モノサシ”を設定しておく
必要がある。

ポイントは2つ。


第一は、《業績基準(Performance Standards)》を、計数をからめて具体的に作っておくこと。

もしこれを行っておかないと、何を基準にして評価するのかを客観的に説明できないので、
する方もされる方も納得のいく評価となりにくい。ともすると、 評価が、感情論・感傷論になってしまい、
対象の人間に対する“好き嫌い”だけがベースになりがちである。

第二は、《結果(Result、Performance) 対 過程(Process)》の 点だ。

一般にアメリカ企業の場合、結果あるいは業績だけに関して評価が行われるのに対し、
日本では、過程をこれに加えて勘案する傾向が強いようである。


企業である以上、⟨結果⟩は当然であるが、結果至上主義の危険は“結果さえよければ、
やり方はどうでもいい”類の、長期的には企業に害を与える考え方を生みがちなことである。
私としては⟨過程⟩をも含めて評価する懐の深さが必要であろうと考える。

では、具体的にどのくらいの評価ウエイトをかけるべきかの問題だが、アメリカ企業の「結果・100%:過程・0%」に対して、
「結果・80%: 過程・20%」程度が妥当なのではないだろうか。

経営者によっては、「結果・50%:過程・50%」という人もいるが、いずれにしても、
“正しい過程の積み重ねのみが、正しい結果を生む”といくコンセプトを信じたい。



新 将命     

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