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マネジメント

第18回 リーダーの『三識』

社長の右腕をつくる 人と組織を動かす

「リーダーシップとは何か」 「ビジネス界における理想のリーダー像は」…
そうした質問を思い巡らすとき、真っ先に思い浮かべるのは、
バンク・オブ・アメリカの創始者であるアマディオ・ピーター・ジアニーニの生き様である。


二十世紀初頭の1906年、サンフランシスコは大地震に見舞われた。
市の3分の1は火につつまれ、家を失った者は25万人、死者は5000人にのぼ り、各地で暴動が発生。
厳戒令がしかれる事態にまで至った。

銀行の建物も大きな被害を受け、閉鎖命令が下された。そのため、大銀行は「向こう6ヵ月は銀行を閉鎖する」と決定。
だが、サンフランシスコ再建のために財界や銀行の代表が集まって開かれた会議の席上、一人の人間が発言した。

“こんなときの金庫を開けないなんて、銀行は何のためにあるのでしょうか。6ヵ月の閉鎖は誤りです。
大銀行が、どうしてもオープンしないというなら、 私一人でも開きます”

誰あろう、ジアニーニである。そして、ジアニーニは翌日の新聞に銀行オープンの広告を出し、事務所も焼け出されたことから、
屋外に机を並べただけの野 外銀行ともいうべき形で営業を開始、通帳を失った人にも信用だけで払い戻しをしたのである。


阪神淡路大震災における日本政府・行政の対応を思い浮べたとき、隔世の感を抱くのは私一人ではないだろう。

私は、リーダたるもの「知識」「見識」「胆識」の「三識」を身につけるべきと常に主張している。

「知識」とは、いわゆるデータ情報の類。
「見識」とは、「知識」に自分なりの見解(point of view)を付け加えたもの。
そして「胆識」とは、「見識」に“判断力、決断力、実行力”を加えた陽明学の言葉であり、これが最もリーダーに求められる。

ビジネスリーダーは、評論家や批評家、学者とは違って、常に結果を出すことが求められる。
そのためには、モノを知っている、つまり、知識の持ち主とい うだけでは不十分、
知識に自分の考え方をプラスできる見識の持ち主でも物足りない。「胆識」こそが不可欠なのである。


モノゴトを判断し、決めて、それを実行に移すことのできる人間、そこにトラブルや問題が生じたらすぐさまそれを乗り越える
だけの臨機応変さを持つ人間、企業はそうしたジアニーニのような「胆識」を持ったリーダーを必要としているのである。

企業の中でリーダーの役割を果たし、大きな仕事を成し遂げるのは「胆識」の持ち主なのである。



新 将命     

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