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戦略・戦術

第10回 日本人の特性にあった継続する経営

継続経営 百話百行

日本は、世界の長寿国というのは周知のことのようです。2013年のWHO発表データでも女性は、86歳で世界一、男女平均では83歳、男性は、12位で79歳。人も長寿ならば、日本は企業も長寿なのです。後藤俊夫教授(光産業創成大学院大学)によると、創業200年以上の企業数は、世界一だそうです。 

 1

  日本

3113社

 2

  ドイツ

1563社

 3

  フランス

331社

 4

  英国

315社 

この数字を見ても、圧倒的なのがわかります。日本は、長寿の国ですし、企業も長寿のようです。もちろん、国によって価値観が違います。長く続いている=素晴らしい ではなく、よく飽きずに続けているねと、感じる国もあるようですが、日本人は、「長く続いている = 素晴らしい」 と思うのではないでしょうか?

その長く続いている企業は、どんなところかというと3113社の内、
業種は、 

 1

 酒造メーカー

447社

 2

 旅館

425社

 3

 民芸工芸

339社

 4

 和菓子 

304社

 5

 食品

291社

 6

 料理店

185社 

だそうです。そして続いている企業の特徴は、
 

◆ 事業が異なっている

 2割 618社は、創業と比べて、まったく事業が異なっているようです。
 創業時の販売商品の現在の売上比率は

(成功長寿企業への道 著者浅田厚志氏 より) 
keizoku2013102.jpg
 

創業から、商品で変化しているというのがひとつの特徴。例えば、日清紡さんは、1907年綿紡績メーカーとして創業。現在は、繊維業の売上比率が11%になり、トップはエレクトロニクス39%、自動車用ブレーキ材などが26%となり創業から変化しているそうです。

他にも、1865年に、製紙業で創業したノキアは、その後主力商品を変遷し、1998年には、世界シェアNO.1の携帯会社になり、2008年では、シェア38.8%あったそうです。それが、先日、マイクロソフトに総額 54億4000万ユーロ(約7140億円)での売却が決まり、また、主力業種が変わります。

商品を時代に合わせながら変化していく、または、商品は同じでも販売の仕方を変化していくなど、「変化をしていく」というのが、継続企業の一つの特徴のようです。もちろん、確率で見た場合で、創業当初から何も変えてないというところもあります。しかし、変えたほうが残っている企業が多いのであれば、経営コンサルタントとして、リスクを回避するために変えていくのを推奨したいと思うのです。ちなみに、東京商工リサーチさんのデータでは「主力事業の内容」は56.3%、「商品/サービス」に関しては72.4%がそれぞれ創業当初と変わったとされています。

「変化への対応力を失うことは死を意味する」と元大丸の社長の言葉が印象的です。

  keizoku2013101.jpg

(成功長寿企業への道 著者浅田厚志氏 より)

判断基準があるというのはもっとも必要な要素なのかもしれません。なぜならば、長年続けていると、必ず、迷うことが出てきます、それも、真面目にしているときほど。ですので、その時に、判断基準があるというのは、長く続けることなのかもしれません。

その家訓・社是・社訓を、破ったことがあるか?
ある16%  ない84% と、やはり長く続いているところは、家訓が存在し、それを守っているようです。
 

■いろんな会社の家訓

●大丸の家訓『先義後利』
「義を先にして利を後にする者は栄える」

●本間家 山形酒田 掟7カ条
1.朝寝すべからざること
1.万事勤方忘れるべからず
1.酒盛二重盃致すまじこと
1.米金等請負加判致すべからず
1.穀物買入致すべからず
1.無用のもの出入りせぬこと
1.無用の夜行致す間敷きこと

●三菱の『三綱領』
 ・所期奉公
 ・処事光明
 ・立業貿易

●三菱創業者岩崎弥太郎氏の母の言葉が印象深い。
一、人は天の道にそむかないこと。
二、子に苦労をかけないこと。
三、他人の中傷で心を動かさないこと。
四、一家を大切に守ること。
五、無病の時に油断しないこと。
六、貧しい時のことを忘れないこと。
七、常に忍耐の心を失わないこと。

●薄皮饅頭の柏屋さん
・不易流行
・歴代初代

●商人八訓(渡辺崋山)
一.先ず朝は、召使いより早く起きよ
ニ.十両の客より百文の客を大事にせよ
三.買手が気に入らず、返しにきたならば、売る時より丁寧にせよ
四.繁盛するに従って、ますます倹約せよ
五.小遣いは一文より記せ
六.開店のときを忘れるな
七.同商売が近所にできたら懇意を厚くして互いにつとめよ
八.出店を開いたら、三年は食糧を送れ

◆ 会社の資産運用

  してない 66.8%

(成功長寿企業への道 著者浅田厚志氏 より)

これも、不思議なのですが、老舗企業は、9人以下の会社で61.7%(老舗学 同友館発行より)です。つまり、創業家で独占できる状態であるにもかかわらず、自己資本比率が高い企業が多く資産運用もせず、本業に特化し、株主配当も少ないというより、ないところのほうが多いようです。これは、どうも、長く続く企業は、家を守るというより、事業を守るという観点が強く

  事業 = 公

というように、日本人は公を重んじるように、 「公」 ということに重きをおいているようです。以上の3つから日本人が老舗企業、長寿企業を作るには、3つのポイントが有るように思います。

それは、
1) 変化をする
2) 判断基準がある
3) 「公」性を重んじる

お客様がいるのであれば、長く続くことをしていきたいものです。

長く続くことをしているかのチェックするためには、3つのチェックをすると良いようです。
1)QCDの進化をチェックする
2)行動指針をチェックする
3)公性をチェックする

3つのチェックは、次回詳しくお伝えします。 

 

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