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- 社長のための“儲かる通販”戦略視点
- 第192号 1兆8851億元
この数字は、中国における2013 年のネット通販の取引額である( 約30 兆7,431億円)。
統計をおこなった中国電子商務研究センターによると、社会消費品小売総額に対するネット通販取引額の割合は8%を占めており、今年はさらに9.3%と、小売り総額の10%近くまで上昇する見込みだ。
中国の小売総額自体の伸び率は減速する中、日本と同様に、ネット通販が市場拡大の牽引役となっているわけだ。
中国小売業の2013 年の売上高上位100 社を見ても、インターネット通販企業9社がランキング入りしており、その存在感は確実に高まっている。
中でも、ネット企業1 位のアリババグループが運営するB to C 通販サイト「天猫」の売上高は、前年比67.5%増の3,470 億元で、実店舗1 位の蘇寧雲商集団( 家電量販) の売上高1,380 億元を大幅に上回っている。
中国のネット通販の市場規模は、2012 年に日本を上回り、2013 年にはネット通販比率6%の米国をも追い越しており、国際的に見ても、その高成長ぶりは突出している。
このように中国のネット通販市場が急拡大したのは、経済成長に伴う人口13 億人の消費の伸びに、実店舗を持つ流通系企業の成長が追いつかなかったからだ。
国土が非常に広い中国では、店舗の市場集中度が低いため、消費拡大にスピーディに対応できるネット通販が、その隙間を埋めるように一挙に伸びたのだ。
この状況下、実店舗中心で中国事業を展開しているイオングループやイトーヨーカ堂などの日系企業や外資系企業も、戦略転換を迫られている。
売上高トップ10の常連だった仏カルフールは、11 位とランクから外れ、イオンは64 位、イトーヨーカ堂は68 位と共に順位を落として、中国事業で苦戦している。
一方、中国で「天猫」「陶宝網」など3つのネット通販サイトを展開する、アリババグループの2013 年の流通総額は25 兆円である。
同社の中国市場のシェアは80%にも達しており、まさに一人勝ちの状況だ。
そんなアリババが、米子会社を通じて通販サイト「11メーン(11 Main)」を新設。米国上場を申請し、いよいよ米国に本格進出することが話題になっている。
ついに、アマゾンの強力なライバルとして同じ舞台に登壇したアリババ。
すでに売上高では、約7 兆円規模のアマゾンに3 倍以上の差をつけている。いよいよ世界ネット通販の覇権争いが始まった。