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社員教育・営業

第5話 「報告は鮮度が命!!」

東川鷹年の「中小企業の人育て」

  よく先代社長に「おい、あれどうなった?」と言われ、「あれって・・・?何でしたか?」と、実際には聞けなかったが、思わず聞きたくなるくらい見当もつか ない事がたまにあった。
 
 「あれって、昨日渡した本やがな。何書いてあった?」
前の日の夜、帰る間際に「これ読んどき。」とだけ言われて渡されたので、何気にそのままにしておいてしまったのだが、「いや、読んでいませ ん。」と言ったら、
 
 「わしがお前に何もなく渡すと思うか!まえがきに何書いてあった?目次は?あとがきは?ほんまに何にも読んでへんのか?バカモノ!」と、烈火 のごとく叱られたのだ。
 
 それからというもの、朝、言われたら昼、昼言われたら夕方、夕方言われたら夜、夜、言われたら次の日の朝、必ず報告するというルールを決め た。
 

 もちろん、すぐに出来る(仕上げられる)内容の指示だけではないので、ためらうことがあったが、「中間報告でよい。もしくは、“こういうやり方でやろうと思う。” だけでも良い。
 
 その報告で違っていたら、そこで正せばお互いに時間と労力が最小限のロスですむやろ」と言われ、なるほどと思った次第である。
 
 最近、指導先で「うちの社員はホウレンソウが出来ないのですが・・・」とよく相 談を受けるが、そもそも報告と連絡と相談では意味と仕方が全く違うのに短縮した言い方にしてしまい、その本質が失われているように思えてならな い。
 
 “報告”とは、
   『指示を出した人への義務的行為』
 
 指示されていない人に報告する必要はない。その義務を果たすという事だから、報告が遅いというのはNGである。「あれ、どうなった?」と聞かれた時点でアウトである。聞かれる前に言う。攻めの報告が重要である。
 
 “連絡”とは、
   『うまく事を運ぶための事前のコミュニケーション』
 
一言で言えば“気配り”である。誰に何をどのタイミングでどのような手段で伝えればいいのかを相手の立場に立ってよく考える必要がある。便利に思えるメールだが、隣の席の人に、一声かければそれで済む事をわざわざカチャカチャとキーボードを叩いている。こっけいな風景である。
 
 “相談”とは、
   『出来る人から“知恵(ヒント)”を借りる』
 
 いわゆる“問題解決”である。「部下が相談に来ないんです。どうすればいいですか?」という相談を受けることがあるが、「あなたが変わりなさ い!」とお答えする。
 
 要は、あなたに相談しても解決方法が解らない・・・と思われているから相談に“来ない”だけなのだから。
 
 今一度、社内で報告・連絡・相談のそれぞれの意味を理解させ、そのやり方のルールを決める必要があるのではないだろうか。

 

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