menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

税務・会計

第74号 BS「格言」 其の二十三(2)

会社を守り抜くための緊急対策

其の二十三(2)

資産と費用は紙一重、対応の仕方で天国にも地獄にもなる

 

 資産を早期に費用とせずに資産のまま放置していますとどうなるでしょうか。
 まず、税金を余計に支払うことになります。 そして維持費がかかります。また、余計な神経が必要になります。
 
 1ヶ月だけ、おでん屋の屋台をすることにします。ネタを10万円分仕入れ、それを25万円で売ったとします。一か月で15万円の儲けです。15万円のお金は残りません。屋台などの設備に10万円かかったからです。そうなると5万円しか残りません(図①)。
 
74-1.jpg
 かりに税率が40%とすると6万円が税金で持っていかれることになります。
 
74-2.jpg
 結果、資金収支は、マイナス1万円です。何のために1カ月間商売をしてきたのかわからなくなります。
 
 計算は、次の方法でもできます。資産が設備10万円と現金5万円残っているため、その合計15万円に対して税金をかけることになるのです。
 つまり、資産に対して税金をかけられていることになります。
 使わないものは資産ではなく、費用にする意味がわかるでしょうか。屋台がある限り、税務署は資産として考えます。そして余計に税金がかかります。
 
 さて、どうしたらいいでしょうか。
 もう、屋台はしないのですから、廃棄するしかありません。そうなれば資産としてカウントされる屋台も、費用として認めざるを得ません。
 そうなりますと1ヶ月の計算は次のようになります。
 売上25万円から仕入10万円と屋台廃棄分15万円を差し引き、利益は5万円で税金も2万円になります。残ったキャッシュは、25万円―10万円―10万円―2万円=3万円になります。
 
 
74-3.jpg
 支出で資産として処理したものはできる限り早く費用にすべきであり、費用が損金として認められるためには、余計なものは持たない、すなわち、捨てることになります。
 余分に税金を納めたいと言う人はいないでしょう。
 財務基盤が弱い中小企業の資金繰りが苦しくなる原因は、収入減以上に、支出面にあります。
 それは「売上に直結しない支出」の存在です。税金はその典型例です。
 健全な経営をするためにも、「売上に直結しない支出」が何かをチェックし、極力それをゼロに持っていくことです。
 経理は、請求書をチェックして正確に振り込みをすることだけが仕事ではなく、その支出が本当に売上に直結しているのかをチェックすべきなのです。
 
 
 
 

第73号 BS「格言」 其の二十三(1)前のページ

第75号 BS「格言」 其の二十四(1)次のページ

関連セミナー・商品

  1. 社長のための「お金の授業」定期受講お申込みページ

    セミナー

    社長のための「お金の授業」定期受講お申込みページ

  2. 公私混合経営マニュアル

    公私混合経営マニュアル

  3. 「公私混合で考える《経営と蓄財》」

    音声・映像

    「公私混合で考える《経営と蓄財》」

関連記事

  1. 第50号 業務上横領(2)

  2. 第36号 信用金庫はあっても信頼金庫はない

  3. 第22号 中小企業の本当の消費税対策~その1~

最新の経営コラム

  1. 【昭和の大経営者】ソニー創業者・井深大の肉声

  2. 「生成AIを経営にどう活かすか」池田朋弘氏

  3. 朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳(2024年11月20日号)

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 相続

    第5回 株主名簿の整理は、できていますか?~その③ 株式を整理する際の、譲渡価格...
  2. 不動産

    第95回 内覧会直前に送附する「 変更事項書類 」に要注意。
  3. キーワード

    第55回(アウトレットを手軽に買える仕組みをつくる「ドンレミアウトレット」)
  4. 戦略・戦術

    第2回 M&Aが効果的な目的とは?
  5. 人間学・古典

    第86講 「帝王学その36」 林深ければ鳥棲み、水広ければ魚遊ぶ。仁義積もれば、...
keyboard_arrow_up