アマゾン(Amazon)日本法人の立ち上げメンバーとして、ジェフ・ベゾスと共に15年にわたり第一線でその躍進を支えてきた佐藤将之氏に、「アマゾンに学ぶ!成長し続ける組織のつくり方」についてお聞きしました。
■佐藤将之(さとう まさゆき)氏/Amazon Japan 立上げメンバー
Amazon日本上陸前に、ジェフ・ベゾスの経営に惚れ込み、日本法人立上げをみずから志願。商品群の拡大、各地拠点の設置、市場の拡大、物流網の整備、代引きシステム導入などを託され、日本法人の地盤をゼロから築き上げる。Amazon式の「最速×最高の成果をあげる経営」の真髄を、誰よりも近いところで叩き込まれてきた。2016年、同社の売上1兆円を達成させ退社。現在は、Amazonでの経験から得たジェフ・ベゾス直伝の「超合理的な経営のルール」を、全国の企業に向けて指導。
アマゾン創業者 ジェフ・ベゾスが大事にしてきたこと
まず、アマゾンの強さは、どこにあるのでしょうか?
アマゾンは非常に失敗に寛容です。アメリカ系の企業では珍しいのではないでしょうか。降格や解雇など、ほとんどありません。よい成績を残せなかったり、仕事で失敗をしたりした時に、「そこから何を学んだのか」が大切で、「失敗を活かす精神」が社員に染みついています。
それは、「挑戦する意識が増えること」、「アイデアが生まれること」につながります。これがアマゾンの「強さ」を支える一つではないでしょうか。
この考えは、今のアマゾンのような「儲けが出る大企業だからできていること」では決してありません。シアトルの貸家についていたガレージで働いていたお金も知名度もない時代から、創業者のジェフ・ベゾスが大切にしていたことです。会社の規模や売上は関係ありません。
失敗を受け入れる環境をつくることができるか
なぜ失敗に寛容であることが重要なのでしょうか?
新しいことをやれば失敗をする可能性が多くなります。よく考えてみるとこれは当たり前のことです。逆に、私は「失敗しない人」を評価しません。チャレンジしてない証拠です。
ベゾスもそうですが、経営者の仕事は、「チャレンジをする社員たちの失敗をどれだけぐっと腹に飲み込んで、その失敗から新たなそのアイデアが出てくることを促す」ということです。
「失敗したら終わり」となると、その次にチャレンジしにくくなりますよね。「失敗を受け入れる環境をどれだけつくることができるか」は、経営者にとって非常に大切なことです。もちろん、毎回えびす顔で、「お前たち失敗してもいいから頑張れ」では意味がありません。
数値目標など、相対的に測れる指標を参考にして、「見直し」や「評価」をすることも必要になってきます。
仕組みがないと経営が安定しない
アマゾンの数値管理について教えてください。
基本的には、KPI(Key Performance Indicator)管理です。『会社の売上や利益目標を達成するための「カギ=Key」となる業務を、どれだけ行えばよいか』を数値目標にしたものですね。
数値の管理をできてないところで「社員の頑張り」を評価をするのは非常に難しいです。社長が健全に社員を評価できているかは、数字が鍵を握ります。ただ、数字だけでなく「定性評価」(数値などの明確な実績や成果では表せない対象を評価すること)もしっかりとやる必要もあります。
これは社員のモチベーションに関わってくるからです。とくに中小企業は、数字だけで人を判断すると評価を誤ってしまうことがありますので、数字ではかる「定量評価」と「定性評価」の両方を使っていくのがベストです。
1
2