menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

人事・労務

第49話 高年齢者の再雇用・処遇と給料の決め方

「賃金の誤解」

 60歳定年後に無収入の人が出ないように65歳までの雇用を義務付ける改正高年齢者雇用安定法が2013年4月1日から施行されたことについて第47話で解説いたしました。
 継続雇用に際しては、雇用は退職金精算後の有期の労働契約であること、給料は担当する仕事の市場価値を念頭に置き、ノーワークノーペイ、時給から計算を積み上げる嘱託契約であると申し上げました。
 この再雇用時の給料の根拠が仕事の市場価値だとすれば、それは担当する仕事の難易度であり責任の重さ、つまり責任等級で判断するのが最も合理的です。
(1)  定型的繰り返し的な仕事、特に熟練を必要としない単純軽易な作業であれば、その責任の重さはⅠ等級相当であり、時給にして約1,000円(Ⅰ-20号前後)がその市場価値と判断できます。
(2)   業務に関する普通程度の知識と経験にもとづいて、日常の事務もしくは営業サービス業務または技能的な作業を任せるのであれば、その責任の重さはⅡ等級であり、時給にして約1,200円(Ⅱ-20号前後)と判断できます。
(3)  業務に関する比較的高度の知識と経験にもとづいて、自己の創意と判断で、比較的複雑な日常の事務または専門的業務を任せたいのであれば、責任の重さはⅢ等級であり、時給約1,500円(Ⅲ-20号前後)と判断できます。
このように60歳定年後の仕事の中身と給与金額の判断できれば、次は本人の希望を含めて勤務日数や勤務時間を設定することになります。
A.就労形態を例えば週3日~4日とし25時間程度の勤務とすれば、その雇用はパートタイマーであり、時給がいくらであっても社会保険の適用除外者となります。加えて賞与を支給することも出来る上、継続雇用給付や該当年齢になれば年金の受給も可能となるメリットは注目に値します。
B.退職前と同じ40時間の一般職としての嘱託勤務であれば、担当する職位から判断して、以下のような月例給与が考えられます。
 
I.等級相当の仕事であれば1,000円×8時間×21日=168,000円
II.等級相当の仕事であれば1,200円×8時間×21日=201,600円
III.等級相当の仕事であれば1,500円×8時間×21日=252,600円
 
ただし継続雇用給付等の受給を考える場合には賞与の支給がマイナス要因となってしまうため、注意が必要です。
C.退職金精算後の嘱託再雇用であっても、管理職あるいは高度専門職としての役割を任せたい場合の基本給は退職時の80%~70%とし、年毎の契約更新することを賃金管理研究所はお薦めしています。ただし、その給与額が、該当等級の基本給初号を下回るときはその初号金額とし、月平均勤務時間数から給与額を決めることとします。賞与については成績評語に相応しい金額を支給すべきです。
 以上のように退職後再雇用も責任等級準拠で考えれば、勤務日数や勤務時間に応じた給料を矛盾なく弾力的に、しかも分かりやすく設定することが可能となります。

 

第48話 「2012社長・重役報酬の実態調査」に見る役員報酬の特徴は?前のページ

第50話 残業時間の管理を安易に考えていませんか次のページ

関連記事

  1. 第56話 年ごとのベースアップから給与制度を守る加給の役割

  2. 第45話 2013年の春季労使交渉

  3. 第4話 社員が安心して仕事に専念できる企業に発展がある

最新の経営コラム

  1. 第89話 打開策は、ふとした発想から

  2. 朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳(2024年12月4日号)

  3. 第66回 『明治人と胆力』

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 社員教育・営業

    第26講 カスタマーハランスメント対策の実務策⑬
  2. 人事・労務

    第7講 リーダーの承認力が人を伸ばし組織を救う
  3. 社員教育・営業

    第9講 親身対応の5つの手順
  4. 相続

    第2回 相談する人を間違えたら、とんでもないことになります。
  5. ブランド

    <事例―21 森永製菓のハイチュウ(B2C)> 日本でロングセラーだった商品が...
keyboard_arrow_up