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社長業

Vol.147 成功のための「三練磨」

作間信司の経営無形庵(けいえいむぎょうあん)

 地方の中核都市で、約40年にわたり、中小企業の支援を行っておられる会計事務所所長と定期的にお会いし、情報交換を行っている。
 
 この方が素晴らしいのは、事務所を解放し、地元の若手経営者の教育指導も長年行っておられることと、言論界の著名人や全国の顧問先でない経営者と不思議なくらい人脈を築いておられることである。
 
 この方々も、当然、経営者の教育の場に駆り出されているが、結構皆んな喜んで協力しておられる。ご本人が、地域ボランティアやチャリティー活動に長年尽力されておられることも、志・見識の高さとともに、後継者を見る目の厳しさにつながっている。
 
先日も、後継者の実力差についてご意見を伺った。
・当たり前のようだが「自分の失敗を、ひとに拭かせる」
 「なかなか頭を下げられない」「茶坊主に囲まれている」など、
 共通の項目が並んだ。
・あと、「思った以上に世間が狭くて、自分が偉いと勘違いしている」とも。
 
 これは、決して本人だけのせいではない。
 創業者は、様々苦労をして今日まで、業績を上げ続けてきたが、その間、倒産のピンチを含め、誰も助けてくれないほどの辛酸を舐めてきている。自らの力と気力で乗り越えるしかなっかったのが実情であろうが、後継者が相応の苦労をするかといえば、そんな機会はなかなかない。
 
 あったとしても、周りの手助けもあり、「眠れぬ夜を幾日も・・・」とまではならない。本当のピンチは、社長になったあと、先代が亡くなられた後に訪れる「大トラブル」に対処したときである。
 
 ここで、前記のような、逃げの態度や責任転嫁の姿勢が見え隠れすると、とたんに会社が弱くなってしまう。
 
 経営知識は非常に大切だが、先代からの教育の中に、「厳しい状況を解決する」「本人の全責任で解決させる」機会を、いくつもいくつも体験させるしかない。
 
 万一、失敗すれば「会社がピンチ」では、最後に先代が手を貸さざるを得ないだろうが、若いうちから親ごころで先代が事前に手を出し過ぎると、結局、教育にならない。
 
 多くの経営者が「原因自分論」「業績は99%社長の責任」を心に刻んでおられるように後継者にも、早い時期から、この覚悟を植え付けてさせていただきたい。
 
 自信満々の態度と謙虚な姿勢、一見矛盾するようなことだが、長く会社を繁栄させつづける社長の共通する特質である。
 
 地方の繁華街で「茶坊主と飲み歩いている姿」を頻繁に見かけるようだと、まだまだ、社長のイスを譲るには時期尚早である。付き合う人物にも注意を払いたい。
 
「事情(上)練磨」「人情(上)練磨」「書上練磨」。先人の知恵は良くできている。

 

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