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採用・法律

第118回 民事訴訟のデジタル化

中小企業の新たな法律リスク

民事訴訟等のデジタル化

田中社長は、賛多弁護士に債権回収について相談しました。その帰りぎわに、田中社長は賛多弁護士から次のような話をききました。

* * *

田中社長:先生に今般の債権回収をお引き受けいただけるということで、安堵いたしました。自力での回収は難しいと思っておりましたので。

 

賛多弁護士:早々に着手したいと思います。今回のケースは、先ほどお話ししたように民事執行まで必要になる可能性が高いです。

 

田中社長:そこまでいかずに、解決ができればよいのですが。今回は相手となる取引先が東京なのでよいですが、地方の場合、訴訟や執行となると厄介ですよね。

 

賛多弁護士:そうですね。ただ、2022年、2023年に民事訴訟法等が改正になり、現在、民事訴訟やその他の民事関係等の手続きのデジタル化が進められているため、今後、民事訴訟等の手続きの使い勝手がよくなってくると思います。

 

田中社長:民事訴訟等のデジタル化ですか。どのようなことをいうのでしょうか。

 

賛多弁護士:まず、民事訴訟ですが、現在、裁判所に提出する訴状は紙媒体での提出が必要です。当事者が主張立証を行う口頭弁論は、ウェブ会議や電話会議の方法で行うことはできません。記録の閲覧は裁判所でしなければなりません。

また、従前から、争点整理等を行う弁論準備手続きは電話会議等の方法で行うことはできましたが、当事者の一方は裁判所に出頭しなければならないなどの制限がありました。

 

田中社長: そうだったのですね。

 

賛多弁護士:それが、次のように変更となりました。

裁判所に提出する訴状等はオンラインでの提出が一律認められることになります。また、裁判所からの送達をオンラインで行うことが可能となります。

また、今年(2024年)3月1日から、口頭弁論手続きにウェブで参加できるようになります。また、昨年(2023年)3月1日から、ウェブや電話による弁論準備手続き、和解手続きに参加が可能な期日の要件が緩和されています。

さらに、訴訟記録が原則電子化され、当事者はインターネットのサーバーにアクセスする方法での閲覧が可能となります。こちらと訴状等のオンライン提出は、施行は公布から4年以内ということになるので、2026年5月25日までには施行されることになります。

 

田中社長:以前、先生に地方の裁判所の事件の代理人をしていただいたとき、先生は地方の裁判所まで行ってくださっていましたね。それが、順次、ウェブで対応できることになっているのですね。

 

賛多弁護士:そうです。

 

田中社長:そうすると、旅費等の費用の負担が軽減されますね。

 

賛多弁護士:はい。それから、事実上のことですが、期日が入りやすくなり、早期解決にも資するのではないかと思います。

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