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製造業

第262号 数えるな、形にして見よ

柿内幸夫─社長のための現場改善

 皆さん、こんにちは。今回も私の著書「改善の急所101項」から1項を紹介し、実践編として実例を挙げます。

【急所18】数えるな、形にして見よ。(52頁)
【急所32】チェックは、違う方法で二重に。(82頁)
 
 7月になったばかりなのに連日の猛暑日で、早くも夏バテ気味という方も多いのではないでしょうか? かく言う私も、強い日差しの下で帽子をかぶらず、水も飲まずといった無防備状態で30分ほど歩いていたら、フラっとしました。
 
 プチ熱中症だったと思います。夏はこれからです。お互いしっかり熱中症対策を行なって、まだまだ続く暑い夏を安全に乗り切りましょう!
 
 さて、今回は「モノの数え方とチェックの方法」についてお話します。工場の中で作業を拝見していると、数を数えている場面に頻繁に出会います。
 
 せっかくいいものを作っても、箱に入れるときに数を間違えて少なく発送してしまったら、お客様にご迷惑をかけてしまいますから、みなさん真剣に数えています。
 
 しかし、モノの数を正確にかぞえ続けるということは、結構むずかしいことです。その上、暑い工場の中で頭が少しでもボーッとしていると、普段はしないかぞえ間違いをしてしまうことも起きそうです。
 
 5つまでくらいの数であれば、正確にかぞえることは難しくありません。例えば目の前にモノが1つだけしかなかったら、それは見れば分かりますからかぞえる必要はありません。
 
 2つでも見れば分かるでしょう。このように考えていって、普通の人がひと目で数がわかる限界は「5」だそうです。6以上になると、ひと目でその総数を正確に言い当てるのは困難だということです。
 
 そうであれば、モノの数を正しくかぞえるための工夫が必要になります。しかし、現場での計数作業の多くは、特別な工夫もなく、ただひたすら間違えないように、担当者が「頑張って」いることが多いです。
 
 ちなみに「頑張る」とは、二回かぞえて二回とも同じ結果になったら正しいと判断するとか、別の人がダブルチェックするといったやり方です。これは、悪いこととは言いませんが、工夫がされているとは言いがたいです。
 
 そこで、「かぞえる」という作業に関する改善の考え方ですが、もし同じ数を繰り返し何回もかぞえるのであれば、その数の分だけ仕切りがある箱を作って、その仕切にすべてモノを入れれば、正しい数であることが分かるようにするのはいかがでしょうか?
 
 要するに、これは前述の「“1”という数は見れば分かるのだから、かぞえる必要がない」と同様の考え方で、仕切りがすべて埋まっているのがひと目で確認できれば、かぞえる必要がないということです。
 
 つまりこれは、かぞえるという難しい作業を、入れるという簡単な作業に置き換えたということです。しかも同時に、全部入っているか、すなわち仕切り内に入れ残しがないかの確認作業も兼ねますから、簡単で正確な作業になります。
 
 あるいは、もしすべての部品が同じ重さであれば、その部品の総重量と入れ物の重さの合計は毎回同じですから、重量を測ることで数が正しいことを確認できるでしょう。
 
 このように、最終的に確認するということになった場合は、改めてかぞえ直すというやり方ではなく、別の方法でその数を確かめるというやり方を考えるべきでしょう。
 
 なぜなら、同じ人が同じやり方で検査をすると、同じ間違いを繰り返すことになりますし、何より時間がかかります。そもそも、かぞえるということは付加価値を生みませんから、二度もかぞえているという理由で、高い料金を請求することはできません。
 
 以上、簡単な事例で、正確な数のかぞえ方の改善をご紹介しましたが、確実な方法です。正確な計数は、お客様からの信頼の基本です。
 
 暑かったのでつい間違えましたは許されません。この際に、工場の中での計数のやり方を見てよりよい方法に改善を進めましょう!

 

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copyright ゆきち先生 http://yukichisensei.com/

 

※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。etsuko@jmca.net 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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