今回は前回と同じフェーズ8の「 モノづくり 」ですが第3項目の『 ソフト面やハード面 』13項目中の第1項目である、分譲マンションでの商品企画の上で知っておかなければならない『 典型的な住戸プランは「 田の字型 」住戸で2種類ある。 』に関してのお話を致します。
前回はフェーズ8の「 モノづくり 」の『 安心・安全 』4項目の最後の第4項目である『 戸建に於ける最低限のセキュリティー。 』に関してのお話を致しました。
「 モノづくり 」に於いて住まいの『 ソフト面やハード面 』の充実を図るという事で13項目用意致しました。今回はその最初の第1項目で分譲マンションの住戸計画に関する『 典型的な住戸プランは「 田の字型 」住戸で2種類ある。 』と言う事を、具体的に詳しく御説明致します。
前回のおさらいを致しますと「 モノづくり 」での重要な事である、住まいは『 安心・安全 』が非常に大切で『 戸建に於ける最低限のセキュリティー。 』という項目の内容を具体的に費用をかけずに分譲戸建等で最低限のセキュリティーを行う事に関しての御説明を致しました。
さて、今回に於いては私が建築家として最も得意とする「 モノづくり 」の「 こだわり 」や購入者に配慮した「 気遣い 」についてのお話を致します。
このコラムで、いつも申し上げていますが、準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーにとって、これからは購入者の「 2極分化 」が進み大変な時期が到来致します。
また、不動産業界は「 超大手、大手ディベの寡占化 」が進みますので、凌駕する為には是非、分譲予定物件の「 モノづくり 」には「 こだわり 」を持って、顧客が気付かない細かな所に気遣いや配慮が行き届いた良い商品を作り続ける事が大切です。良い商品を作り続ける事に依って信用を勝ち取って完売をしなければなりません。
そして、その様な物件を分譲し続けますと、準大手や中堅ディベロッパーに於いても、会社の信用度が一般社会でも高まり「 ブランディング形成 」( ブランドを高める事 )になっていき、それにつれて会社の知名度も上がり、不動産業界で超大手や大手ディベを凌駕できるのです。
その様になる為にも、今回のタイトルの「 モノづくり 」第3項目の『 ソフト面やハード面 』の13項目中の最初の第1項目である『 典型的な住戸プランは「 田の字型 」住戸で2種類ある。 』は分譲マンションの商品企画に於いて最低限知っていなければならない内容ですので熟読して戴きたいと存じます。
今回も私が今迄手がけました新規分譲マンションや建売戸建等の設計業務の経験に基づいた大切なお話です。準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの方々に分譲マンションの住戸計画に於いて『 典型的な住戸プランは「 田の字型 」住戸で2種類ある。』という最低限の知識が如何に大切であるかという事を理解して戴き、詳しく具体的に御説明させて戴きます。
毎回、申し上げて戴いていますが、私は2000年に体調を崩し大手設計事務所である「 (株)東急設計コンサルタント 」の設計部長を自ら辞し退職致しました。その後、約2年間体調の回復を兼ねて、多くの分譲マンション、分譲戸建や戸建団地を見学致しました。
そして2002年に現在の「 碓井建築オフィス 」を設立致しました。「 碓井建築オフィス 」設立後は十数社の準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの分譲マンション、建売戸建や戸建団地等の商品企画のコンサルティングや設計監修を数多く行ってきております。ちなみに「 (株)東急設計コンサルタント 」在籍中にもアルバイトで30数邸の注文戸建住宅の設計及び工事監理を致しましたので戸建にも精通しております。
「 碓井建築オフィス 」では更に、購入者向けに分譲マンションや分譲戸建の「 購入相談 」「現地同行チェック」や「 内覧会同行チェック 」をも行っています。これらの業務に於いても購入予定者や購入者の生の声を沢山聞いており、このコラムにおおいに反映させて戴いております。
これらの業務や経験を踏まえて申し上げたい事は、準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーは、これからは絶対に『 製販一体 』の体制で分譲マンションや分譲戸建の商品企画業務を遂行して戴きたいと思います。そして今回の『 典型的な住戸プランは「 田の字型 」住戸で2種類ある。 』の内容を販売の方々にも良く知って戴きたいと望んでいます。
さて、本題である分譲マンションの商品企画や基本計画に於いては、基本中の基本である住戸プラン『 典型的な住戸プランは「 田の字型 」住戸で2種類ある。 』を良く理解して戴きたいのでこれから具体的に御説明致します。
タワーマンションを除く通常の分譲マンションは羊羹型で住戸は「 羊羹の輪切り 」の様な配置をしています。
そして、その「 羊羹の輪切り 」の様に配置された住戸は妻側住戸等以外の中住戸はほとんどが「 田の字型 」住戸です。
まず、「 田の字型 」住戸を御存知ない方に「 田の字型 」住戸を具体的に御説明致します。
「 田の字型 」住戸とは、住戸間口の中間に玄関が有り、外廊下から出入りする住戸プランで、 何故「 田の字型 」と言うかを御説明致しますと田の字の□の中の縦線が廊下で横線が水周りを現し、その四隅が部屋( 居室 )だからなのです。
この「 田の字型 」住戸プランは大きく分けると2種類あります。
まず一つ目は「 縦長リビング 」タイプです。このタイプはメインバルコニー側にLDと洋室( 最近はたまに和室も有る )が並んでいる住戸プランです。
「 田の字型 」住戸の「 縦長リビング 」タイプのメリットはリビング・ダイニング( LD )や洋室( 和室の場合も有る )がメインバルコニーに面していまして掃き出し窓が有り、住戸内の通風採光が良い事です。このLD脇の洋室( 和室 )の出入りはLDからのみですが、部屋として一応独立していますので夫婦の寝室や子供部屋としても使えます。また簡単にエアコンが設置できます。ヘビースモーカーが居ても窓を開ければ換気ができます。
ではディメリットお話致しましょう。LDが縦長なのでバルコニーから奥の方が暗い事です。通常「 縦長リビング 」では奥の方がダイニングスペースになり朝食時は照明を点灯しないと暗い事が多いのです。またリビングスペースの壁に洋室( 和室 )の出入口が有り通路スペースになってしまいますので家具等が置けないと言う事です。例え置いたとしても和室出入口側の壁から最低でも40センチ位離さなければなりません。
「 田の字型 」住戸プランの「 縦長リビング 」タイプのメリット・ディメリットはまだまだ沢山ありますが大きい項目だけを御説明致しました。
次ぎに、もうひとつ目の「 横長リビング 」タイプの話を致します。
このタイプはメインバルコニー側にリビング・ダイニングが住戸間口幅全体に面している住戸プランです。
「 田の字型 」住戸の「 横長リビング 」タイプのメリットはリビング及びダイニングスペースが共に明るい事と廊下からLDに入るとリビングスペースとダイニングスペースが左右にセミセパレートしている事です。「 縦長リビング 」はダイニングスペースがメインバルコニー面よりかなり奥になるので朝食時でも照明を点灯しないと暗かったのですが、この「 横長リビング 」タイプはダイニングスペースもメインバルコニーに面していますので朝から夕方までは明るいのがメリットです。当然、リビングスペースも朝から夕方までは明るいです。
ではディメリットのお話を致しましょう。通常の3LDKの場合LDと居室( 洋室・和室 )が3室必要です。メインバルコニーと反対側の外廊下側の外気に面する側に2室の洋室を配置致しますと、残りの1居室( 洋室か和室 )は横長リビングの奥に配置する事になり、間接採光の部屋になってしまます。
この部屋を我々は俗に「 中洋室 」「 中和室 」と呼んでいます。現在の建築基準法では「 中洋室 」「 中和室 」の場合はLDからの間接採光になるのでLD側の開口部は引戸しかOKになりません。開き戸が使えませんので扉と枠との隙間が大きくなりますので遮音性が悪く、家族内のプライバシーも保ちにくいのが難なのです。
また平成15年6月に24時間機械換気設備設置が義務付けられましたが、この「 中洋室 」「 中和室 」の換気はほとんど期待できません。ヘビースモーカーの人と一緒に居ましたら肺癌になる確率が高くなります。
更に、この「 中洋室 」「 中和室 」へのエアコン設置が難しいのです。近年、一部の大手不動産会社のマンションは「 中洋室 」「 中和室 」にエアコンが設置可能になりましたが、まだまだ大手不動産会社のマンションでもこの「 中洋室 」「 中和室 」はエアコン設置が不可能な物件が多いのです。そこで、このコラムを御読み戴いている準大手や中堅ディベロッパーの方々にはこの「 中洋室 」「 中和室 」へのエアコン設置を可能に致しまして、大手ディベロッパーに対抗して下さい。
「 田の字型 」住戸プランの「 横長リビング 」タイプもメリット・ディメリットはまだまだ沢山ありますが大きい項目だけを御説明致しました。
分譲マンションを手がけていらっしゃるディベロッパーの商品企画や販売に携わっていらっしゃる方々は上記の「 田の字型 」住戸プランには「 縦長リビング 」タイプと「 横長リビング 」タイプが有りそのメリット・ディメリットを理解して戴ければ、今後良いマンションが分譲できると思います。
準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの会社の分譲マンションを手がけていらっしゃる商品企画や販売の方々は最低上記の内容は常識として覚えておいてください。
何度も申し上げています様に、不動産事業で一番大切なのは売主の信用の継続です。信用を落とすのは一瞬ですが、再度築くには最低10年はかかります。この事は肝に銘じて下さい。
次回はフェーズ8の「 モノづくり 」第3項目の『 ソフト面やハード面 』13項目中の第2項目である『 主寝室の脇に隣戸の水周りやLDを配置しない事。 』に関してのお話を致します。
次回も期待して戴ければ幸いと存じます。