この数字は、2018年の世界のデジタル広告費予測である(電通イージス・ネットワーク調査)。2018年の世界の広告市場は、6,000億ドル(約67兆5,100億円)となる見通しで、デジタル広告(インターネッ広告)市場の拡大と、「2018年平昌冬季オリンピック・パラリンピック競技大会」「2018 FIFAワールドカップ・ロシア大会」「米国の中間選挙」など大型イベントによる貢献が数字を押し上げている。
デジタル広告費のシェアは38.4%と、テレビ広告費(35.5% )を初めて上回り、さらに2019年には40%超となる見通しだ。媒体別の成長率も、デジタル広告が12.6%増と最も大きく、今後も二桁成長が続くと予測されている。マス広告では、テレビが1.2%増と、堅調に推移している一方で、 新聞、雑誌が落ち込んでいる。
デジタル広告の中でも、モバイルデバイス向けは、スマホの普及や通信環境の整備などにより、2017年にデスクトップPC向けを追い抜き、デジタル広告費内のシェアは50.3%と伸張。さらに2018年には52.2%に達する見込みである。そのけん引役となるのは、オンライン動画広告とソーシャルメディア広告で、2018年の成長率はそれぞれ24.6%(前回予測は24.5%)、21.6%(同23.5%)と推計されている。
この調査を行っている電通イージス・ネットワークでは、世界59カ国・地域から収集したデータに基づき、「世界の広告費成長率予測」として定期的 に発表している。調査対象の59カ国・地域をみると、先進国に限定してもデジタルとテレビの市場規模は様々だが、デジタル広告の比率が年々高まっているのは、世界的に共通した傾向と言える。
ただ、世界規模で市場を眺めると、デジタル広告市場の伸び率の大半は、BATと称されるバイドゥ、アリババ、テンセントの中国勢と、米国のGoogle、Facebookを合わせた5社のプラットフォームの売上に集中しており、寡占状態が強まっている。
今後は、Eコマース・サイトのAmazon、楽天などがこの市場にどのように食い込むか、その動向が注目されている。