- ホーム
- 眼と耳で楽しむ読書術
- 第72回 『逆転のメソッド』(著:原 晋)
2018年が始まりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
このコラムが更新される1月26日は
ちょうど僕が全国大会で講演する日と重なりました。
読者の皆さんにお目にかかれるのが楽しみです。
本年もどうぞよろしくお願いします。
さっそくですが、お正月の箱根駅伝はご覧になられましたか?
不利との下馬評の中、大会史上6校目となる4連覇を達成した青山学院大学。
今やすっかり強豪の名門校のイメージですが、
10年前の2008年には優勝どころか、箱根駅伝に出場すらできませんでした。
それも、たまたま出られなかったのではなく、
箱根の舞台から遠ざかること、なんと33年!
長きに渡る低迷から脱し、悲願の復活を果たしたのが2009年。
そして、2015年、創部96年目にして初優勝を果たし、
それから4連覇という状況であります。
この大躍進における主役といっていいのが
監督の原晋氏。
今回紹介するのは、原監督の処女作、
『逆転のメソッド』原晋(著)
です。
原監督は異色の指導者として、その卓越した手腕に
陸上界のみならず、ビジネス界からも熱い視線が注がれています。
というのも、
選手時代に箱根出場経験もなく、顕著な実績もない。
さらに監督経験もない、サラリーマン出身の監督だからです。
原監督は、長年のサラリーマン経験を活かしたチームづくりで注目を集めており、
「箱根駅伝もビジネスも一緒」
と折にふれて語っています。
たびたび申し上げてきたように、このコラムでは、
異分野の優れたものを、自らの仕事に応用&取り入れることを
1つの主眼としています。
原監督の手法は、これ以上ないくらいの好例であり、
ヒントに満ち溢れています!
本書は監督の半生を辿りながら、
そのユニークなチームづくり、選手育成法などに
踏み込んでいく構成。
監督の最大の強みは、サラリーマン経験であることを
感じずにはいられません。
たとえば、
・チームづくりの方法=組織づくり論
・選手獲得法=人材採用論
・選手の選抜、配置=人材登用法
・正しい目標の立て方
・上司論
・なぜ勝てるのか?
など、得られるものを挙げればキリがありません。
長年の低迷を脱すること自体が極めて困難なことですし、
まして4連覇まで達成などというと、
ほとんど人間ワザとは思えないほどですが、
そのヒミツは、全て本書にある、といっても過言でありません。
経営者、リーダーにとっては
どんなに時間がなくても、今すぐ読むに値する一冊、
と自信を持って言えます。
さっそくどうぞ!
尚、本書を読む際に、おすすめの音楽は
『モーツァルト:ピアノ協奏曲集』
クリフォード・カーゾン(ピアノ)、イギリス室内管弦楽団, ロンドン交響楽団(演奏)
です。
以前にもモーツァルトのピアノ協奏曲を紹介したことがありますが、
イギリスの巨匠カーゾンの名盤が復刻!
合せてお楽しみいただければ幸いです。
では、また次回。