皆さん、こんにちは。今回も私の著書「改善の急所101項」から1項を紹介し、実践編として実例を挙げます。
【急所16】お客様を、自信をもってお迎えできるレベルを、清掃が行き届いた清潔な状態という。(48頁)
東京でのオリンピック開催が決定しました。私が中学2年生の時に東京オリンピックが行われました。同級生が走る聖火リレーを沿道で声援したことが昨日のように思い出されます。
再び東京でオリンピックが行われることに興奮しています。景気は心理学だと言われます。きっとこれから景気の動きが活発になるでしょう。これからの変化を予想した上で的確な準備をし、改善で刈り取りましょう。
はやいもので、9月も半ばとなりました。秋らしさが感じられる瞬間も確実に増えてきています。少し過ごし易くなってきたところで、この秋から冬にかけての改善について、改めて作戦を練ってみるのもいいかと思います。
さて、今回は清掃について考えてみたいと思います。
整理・整頓・清掃は3Sと呼ばれ、モノづくりにかかわっているほとんどの人が知っている言葉です。そしてその整理・整頓・清掃のそれぞれの意味を聞かれた場合、一番正解率が高いのは清掃です。
清掃はズバリ「掃除をする」ことであり、分かりやすいです。整理は「要らないモノを捨てること」、整頓は「要るモノを使い易く置くこと」と答えられない人がいても、清掃は大丈夫でしょう。
しかし意味の理解はバッチリの清掃ですが、現場で実際に清掃作業を観察してみると、かなりバラツキがあるのです。同じ工場建屋内の、ひと目で見られる範囲の中で数人の方が手分けして掃除をしている場合でも、それぞれの掃除のやり方には違いがあります。
見るからに几帳面に隅から隅までキチンと掃き進めていく人もいれば、“四角い座敷を丸く掃く”という感じの人もいます。そして、誰も手を付けない場所がけっこうあって気になります。これは、私がよく見た清掃風景ですが、思い当たる方もいらっしゃると思います。
しかし、先日工場見学に伺った大阪府大東市の山田製作所で行われた清掃を見て、「そうか!こういう清掃があるのか」と感心致しました。社長の山田茂さんのご許可を頂いたので、ここにご報告致します。
山田製作所では、全工場を掃除用に21箇所に分割しています。社員は社長も入れて17人ですが、全員を3つのグループに分けて、毎朝10分間、各グループが一箇所、全員で3箇所を掃除します。
このやり方だと、自分の仕事場を自分が掃除するのと違い、誰も掃除をしない三遊間の発生はありません。トイレと食堂は、各チームから一名を選んで毎日掃除です。
掃除開始の前に山田社長が私達見学者に対して、「皆さんが立っている床の上のような見えるところは、誰も掃除しません。そういうところは作業中に何度もしますから、対象外です。
掃除するのは普段触れない材料や棚の下とか、機械の裏とかそんなところばかりです。」とおっしゃいました。
そう言われて見てみると、工場内のあらゆるものに大きなキャスターが付いていて、清掃作業が始まると当日の清掃箇所内にあったすべてのモノが移動され、掃除が始まりました。
山田製作所は金属を加工する製缶業です。切断の切り粉や溶接のスパッターなどがガンガン出ますから、一番汚くなりやすい会社です。事実、昔はそうであったのだそうですが、今はどの業界と比べても負けませんと社長がおっしゃる通りピカピカでした。
現在の山田製作所には年間3,000人の方が見学に来るそうです。その内の1,000人は外国からのお客様とのこと。3Sもそこまで徹底すると、お客様を呼べるのですね。私はいつも工場をショウルームにしようと口にしますが、非常に素晴らしいショウルーム化の例でありました。
さて、ここでコラムをお読み下さっている皆様にお願いがあります。皆様の会社の掃除のルールはどのようになっているでしょうか?
具体的には、「誰も掃除しない三遊間がないか?」「掃除道具が足りているか?」そして最後に、「どのレベルを以ってヨシとしているか?」などを、すぐに現場で調査していただきたいのです。
お客様を、自信をもってお迎えできるレベルの清掃になっているかを、ぜひご確認下さい。そして、製造現場が営業活動を支え、後押しできるショウルーム化を始めて頂きたいと思います。
copyright ゆきち先生 http://yukichisensei.com/
※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。etsuko@jmca.net