(1)地方のビジネスは、難しくなってきている
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なぜなら、今地方は、人口減少が激しくなっている。
そのために、人口商売は成り立たなくなっているのだ。
そもそも人口商売とは何か?
人口商売とは
目の前の人に対して商売をすることだ。
だから、商圏人口が非常に重要な要件になる。
その重要な人口が、減少しているのだ。
日本全体では、2010年から下がり始めている。
地方はそれ以上に、下がり始め
だから、人口商売である八百屋さんや、飲食店、美容室などは
目の前の人口が減少してくると
お客様の母数が減少するので
当然、商売として成り立たなくなっていく。
その結果、地方都市は、シャッター通りと呼ばれるように
商店街にあったお店がどんどん店を閉めるようになってきたのだ。
都道府県別人口増減率
2018年から、2019年の人口増減率は
全国でマイナス0.22%
7県だけ人口がプラス。
東京都、沖縄県、埼玉県、神奈川県、愛知県、滋賀県、千葉県の7県。
それ以外は、マイナスだ。
下位の方で見ると、
ワースト1位が 秋田県 マイナス1.48%
秋田県の人口は、96.6万人。約100万人の1.48%下がるのだから
毎年、1.5万人ずつ下がる計算になる。
ワースト2位が、青森県で、マイナス1.31%
青森県の人口が124.9万人なので、毎年1.6万人ずつ下がる。
この2つ合わせて約3万人 静岡の伊豆市や、
新幹線の駅がある兵庫県の相生市などの人口と同じだ。
日本全国では、2019年は、前年より、27万6千人が減少した。
この人口は
28万人の青森市
東京の目黒区 27万7千人
新潟の長岡市 27万5千人
などと同等だ。
つまり、1年で、青森市や、目黒区がなくなっていると同じ人数なのだ。
では、どうすると、良いのだろうか?
(2)地方のビジネスを活性化する肝は何か?
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日本は
地方と、都会の差が、種々ある。
それを利用することが、地方ビジネスには良いのだ。
たとえば
消費物価地域差指数(総合)
を、見てみると
全国平均を100とすると
100を超えているのは
わずか、8県。
ほとんどが平均以下。
物価指数1位の東京が、104.4
47位が宮崎県で、96.0
その差は、東京より約10%低い宮崎。
すべての物が、東京から行くと10%安いと同じだ。
これを利用しない手はない。
品目別に見ると
食料は、
1位 石川県 103.4
47位 長野県 94.4 差は、石川県の91%が、長野
住居は、
1位 東京都 133.0
47位 愛媛県 82.7 差は、東京都の62%が、愛媛
水道光熱費は
1位 北海道 114.9
47位 群馬 91.3 差は、北海道の79%が、群馬
被服・履き物
1位 栃木 117.4
47位 鹿児島89.9 差は、栃木の76%が、鹿児島
実は、東京は物価が高そうに見えるが
住居と交通だけが高く、それ以外で日本一はない。
物価の高いところと、低いところを比べるとこれだけ違うのだ。
と言うことは
物価の安いところでつくり、物価の高いところで売る
これが、差を利用して利益を得るには良いことがわかるだろう!!
ココを利用しない手はないのだ。
では、賃金の格差はどうなのだろうか?
厚生労働省の地域別最低賃金の全国一覧
一番高いのが、東京の1,013円
一番低いのが、792円
最低は、秋田県、鳥取県、島根県、高知県、佐賀県、大分県、沖縄県
今年は、コロナで上げるところと据え置くところが出てきたので
若干昨年と比べると変動がある。
さて、この差は、
792円の県は、東京の78%になる。これだけの差になるのだ。
この差はなぜなのだろうか?
能力の差なのか?
同じ日本の教育を受け
同じ日本で生まれ育ったのに
賃金に差が出る、それも約2割も差がある。
これは、差別ではないのだろうか?と思う。
これは、最低賃金だが、
平均年収でも差がある。
賃金構造基本統計調査
から出した2018年度の平均年収は
全国平均が、500万6900円
平均以上の県は、わずか6県(東京、神奈川、愛知、大阪、滋賀、兵庫)
一番高いのが東京で、620万3700円
一番低いのが青森で、371万700円だ。
実に差は、青森が、東京の59%なのだ。
この是正が、地方都市活性化になると思っている。
それには、
地方は、都会と比べて、物価が安い。
だから、そこで、製品・商品を作り、販売を都会にすると良いのだ。
都会は世界で良い。
それを、これからの地方都市はやらないといけないのだ。
そして、その結果
利益率が良くなるので、給与に還元できる。
そして、今の平均給与よりあがり、やがて、東京に近づくことができれば
人口も増えるはずだ。
そうなれば、人口商売もよみがえる。
まずは、
居ながらにして、都会での売上げを上げることを経営者は考えないといけない。
地方で、給与が高いのは、
少ないパイを奪い取った結果か
人口に関係ない、都会を相手にビジネスをしているかだろう。
パイを奪い取っている人は人相が悪くなる。
だから、地方で居ながらビジネスが急務なのである。
(3)地方ビジネス成功例
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1) イギリスのスコットランドの
クライゲラヒ村というのがある。
2001年の人口で、422人、191世帯の
小さすぎるくらいの村だ。
ここのスコッチウィスキーは、
世界一売れているスコッチウィスキーなのだ。
これもまた、
クライゲラヒ村に居ながらにして、世界で商売している。
いくら良いお酒でも、人口商売では
けっして、今の売上げは成り立たない。
これが、最もわかりやすい、地方都市ビジネスの一つだろう。
2) スペインの北部、バスク地方にある
たった120人の村、アシュペ。
そこに、アサドール・エチャバリというレストランがある。
そこは、約45席のお店で、
客単価は、4万円くらいだ。
そして、このお店が、3ヶ月先まで、いつも一杯なのだ。
45席×4万円=180万円
月曜日だけが休みなので、月に25日+土曜日だけディナーをしているので
29回転/月が平均稼働、180万円×29回転=5,220万円
これが12ヶ月で、年商6億2640万円
これは、120人の村人を相手にする、人口商売では絶対にあり得ない。
世界中から人がココのレストランめがけてやってくるのだ。
これも、居ながらにして、都会のお客様を誘引している。
目の前の人を相手にしないと
どうするのが良いのか?
それは、地元のものを深掘りするのが良い。
地元の人は飽きているが、
他から来る人は、
そこで、東京でも食べられるもの出されてもおもしろくない。
その場で取れた物の方がいい。
これは、昔の日本の地方都市がやってきたものだ。
地方都市にまだ人口があった頃
そこに、地元の人を呼び込むために
都会にあるもので商売したのだ。
例えば、ホテルを造り
そこに、地元の人から
「都会にあるようなものが食べたい」と言われ
イタリアンや、フレンチなどを作る。
すると、地元の人は良いが
現在は、人口が下がってきている。
そこにきて
都会から田舎に人が来て
中途半端なイタリアン出されても
食べたくない。
しかし、地元の人だけでは商売は成り立たなくなる。
だから、都会から来た人に喜んでもらえる
地元の物を提供すると喜ばれるようになる。
これが、ポイントになるのだ。
(3)地方ビジネス成功例(国内編)
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1) DEER HORN SMITH's
ココは、帯広の郊外にある鹿の角を使ったシャンデリアを製作している会社だ。
シャンデリアが
1段から3段まであり
30万円から80万円くらいのシャンデリアだ。
95%は、本州の人がお客様
年間40~50個の作成
シャンデリア以外に角をボタン、ハンガ、漢方の元
地元の物で、ココでしかできない、味わえない
それをすると、外からお客様に発見されやすい。
2) MEMUアースホテル
ココはまだまだ未完成だが
面白い。
部屋はテーマごとに、
設計者も異なり
テントをどこまで快適になるかというような部屋だったり
馬と一緒に暮らす部屋とか
水平線が360度見える部屋
わらの発酵で暖を取る部屋
アウトドアに暮らす部屋
ここは、建物の建築費用としては一番かかっているとのことだが
外壁がない部屋なのだ。
玄関開けると、部屋はあるが、壁がなく外に筒抜け
という面白いコンセプトなのだ。
地球に暮らすをテーマに
五棟がそれぞれ独立する。
オーナーは、リクシルの元会長
総監修隈研吾、請け負いを小山薫堂さんの会社
かなり実験の部分が多く、これから面白くなるのか?
まだまだ、足りない部分がある。
しかし、90%が、本州のお客様、
外から引き込むには、地場が当たり前、それに少し新しいもの
わざわざここまで来る、特殊なことが、最も差別化になり
来てもらえる要素になる。
(4)経営者がやってほしいこと
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1.人口商売は成り立たない
2.外から人を呼び込むか
3.外にお客様を求めるか
これを考えて欲しい。
それには、
遠くの人がお客様になるようなビジネスが必要。
それにはポイントが有り
(1)楽しんでいる
(2)地場を深掘りしたもの
これを追求して欲しい。
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