前回に引き続き、限られた時間を効率よく使うための、
是非お勧めしたいしたい方法がある。
慣れていない作業や、難易度の高い作業をおこなうときには、
それひとつに集中しなければうまくいかないが、
考えてみれば、私たちの行動の中には、それほど注意を払わなくとも、
間違いなくやれることがたくさんある。
ならば、ひとつのことだけに時間を使っているのはもったいない。
私は強く、「ながら」をお勧めする。
たとえば、一時間のジョギングをしながら英会話や講演会のCDを聴く。
これは、体力づくり(健康維持)と勉強を同時にやることになる。
新聞は学問の教材ではないのだから、熟読する必要はない。
であるなら、ラジオやテレビのニュースを同時に聴くことができるだろう。
新聞の情報は眼で、ラジオやテレビの情報は耳からキャッチすればよい。
食事をしながら家族や部下と話をすれば、コミュニケーションを図ることができる。
一人で食事をするのであれば、本や新聞を読みながら、テレビを観ながら、
あるいは、CDを聴きながら・・・と、組み合わせは自由自在である。
トイレや風呂の時間も同様。
二つとはいわず、三つのことを同時にやることも可能だろう。
私の友人でこんな例があった。
転勤で大阪へ赴任したのだが、その二年間でスペイン語を勉強し、
東京に戻ってきたときには完全にマスターしていて、周囲を驚かせた。
訊いてみれば、やはり「ながら」であった。
営業で、一日中、車を運転している。
移動時間は常に、スペイン語のカセットテープをかけて聴いていたというのだ。
その時間を合計すれば、膨大な学習時間になるだろう。
ただラジオを聞きながら過ごしていた他の営業マンは、
その時間を平気で捨てていたことになる。実に、もったいない話だ。
ひとつのことしかやらない一時間は、そのままの一時間でしかないが、
同時に二つのことをやれば、二時間と同じ価値を生み出すことができる。
与えられた時間は等しく二十四時間であっても、
使う時間は、人によって大きく違ってくる。
漫然と時をやり過ごす人は、二十四時間の半分しか生きていないのも同然だろうし、
逆に、使いかた次第では、倍の二十四時間を生きることができるのだ。