(2) 働きがいのある会社とは?
「働きがいのある会社 100 」のランキングを発表してきた、フォーチューンによると
従業員の働きがいは、業種や組織の規模、上場企業か否か、特別な福利厚生があるかどうかとは関係ないことがわかったのです。
それよりも、働きがいのある会社は、次の点で共通していました。
「従業員が経営者、管理者を信頼し、自分の仕事に誇りを持ち、一緒に働いている人たちと連帯感を持てる」
こうなると、働きがいのある会社の結果は
株式への投資リターンが主な株価指数の 2~3 倍になっています。
そして、それだけではないのです。ライバル企業と比べ、売上高成長率や従業員の定着への意向、生産性、イノベーション、顧客サービスなどにおいても勝っています。さらに、世界的に同じ傾向が見られることもわかりました。
この 20 年間で企業のリーダーたちは、「従業員にとって良いことは、ビジネスにも良い影響がある」という認識を強めています。
働きがいがある会社は
良いことずくめのようです。
ただ忘れてはいけないのが
働きがいも時代と共に変わってきたということです。
(3) 働きがいも時代と共に変わった
1) 働きがいのある会社は、どうするとできるか?
「ビジネスにおいてこれから開拓すべきなのは、
働く人の潜在能力を余すことなく開発することで
業績の向上を目指す、という新たな領域である」
経済は、
農業→産業→知財 の段階を経て発展してきました。
そして今日、人間の本質(情熱、創造性、共に働きたいという気持ちなど)
がカギとなる新たな段階に入ったと言えます。
経済の発展は、ざっくりと言うと
農業が主体ものから
イギリスの産業革命を経て、産業(工業、小売業)に移り
現在は、インターネット革命を通じて
情報などが価値を持つようになってきました。
そして、かつてのように
物がなく、物を得ていくことが
やりがいだった時代から
大幅に変わり
今は、物から気持ちが満たされる魂の充実の時代になったのでしょう。
だから、働きがいも
給料で満たされるより
自己実現、自己成長で満たされる時代になってきたのです。
時代はドンドン変わってきているので
経営者や、会社も変えていかないといけません。
ウーバーの失敗
昔はよかった、今はダメな、時代が変わったことの典型です。
性差別や、運賃のことでドライバーを罵倒!
良くないことだが、
20年前なら、上司が言っていることは
聞くしか無かったのです。
だが、今は、時代が変わり
世間も許さなくなっています。
その結果
業績悪化し、CEOは、解雇されました。
今は
社会の変化が大きいのです。
だから、人のやりがいも変化しています。
それを踏まえて、対応していかないといけないのです。
2) 働きがいの変化はなぜ?
社会の変化が大きいです。
今日のビジネスは、
「企業に、より多くを期待する社会」
「人口構成が多様な社会」
そして
「人々が声を上げ、主張することを恐れない社会」
を舞台に行われています。
つまり、
人々は消費者として、投資家として、従業員として、
企業により高い基準を求めるようになったのです。
なぜなら
(1) 人間の進化、成長
(2) 社会の構造変化
が進んできたからなのです。
3) アメリカも時代の変遷
アメリカも社会の構造変化が著しいです。
米国の市場では多様化しています。
1790~1980 年、米国の人口の 80~90%は白人が占めていたが、
2011 年に初めて米国の新生児の過半数を非白人のマイノリティーが占めました。
白人ではない人(非白人)の割合が
ベビーブーム世代( 1946~1964 年生まれの人)の割合はわずか 36%
ミレニアル世代( 1981~2004年生まれの人)の 60%
と、急激に社会構成が変わってきました。
ミレニアル世代は、消費者としても労働者としても、
企業が注目すべき存在であり、
2015 年に米国の労働市場最大の集団となりました。
その年に就労しているミレニアル世代は推計5350万人で、
米国の労働人口の3分の1に達したのです。
米国の大学生 8 万1100 人を対象にした最近の調査では、
若者が仕事に一番求めるものは、
やる気を起こさせるような目的であり、
別の調査では、透明性の高い職場を期待していることが明らかになりました。
当たり前のことだが
社会の構成している人の割合が変われば
求める平均(常識)も変わってきます。
この世の中が
女性が9割になれば、女性の考え方が常識になるだろうし
高齢化が9割になれば、高齢化の考え方が中心になります。
だから、社会の構成を見ておかないと
昔のままの常識で物事を判断するようになってしまうのです。
4) 日本の時代の変遷
アメリカと同じく日本も社会構造が変わってきました。
特に日本が変わってきた変遷は2つ。
・世帯人数の割合
・高齢化
の2つです。
1985年(昭和60年)には
1人世帯が、7,895世帯
2人世帯は、6,985
3人世帯は、6,813
4人世帯は、8,988
5人世帯以上が、7,299
と、最も多い世帯は、
4人世帯で、8,988世帯でした。
父、母、息子、娘と
4人家族が日本の標準のように言われてきたのは
数値割合いから見ても、合致していたのです。
2000年(平成12年)になると
1人世帯が、12,911世帯
2人世帯は、11,743
3人世帯は、8,810
4人世帯は、7,925
5人世帯以上が、5,392
最も多い世帯は
1人世帯になり
4人世帯は、4番目と
標準ではなくなりました。
1人世帯が、4人世帯の1.6倍にもなりました。
さらに
2020年(令和2年)になると
一人世帯の割合が多くなります。
1人世帯が、21,151世帯
2人世帯は、15,656
3人世帯は、9,229
4人世帯は、6,629
5人世帯以上が、3,037
と、2000年と順番は同じで
1番多いのが、1人世帯
次に、2人世帯、その次3人世帯、そして、4人世帯と
続きますが
1人世帯が、4人世帯の3.2倍にもなりました。
20年で倍率は、1.6倍から、3.2倍になったのです。
そして、もう1つ
高齢化です。
65歳以上の高齢者比率は
1985年(昭和60年) 10.1%
2000年(平成12年) 17.4%
2020年(令和2年) 28.8%
と、急激に高齢者が増えています。
1985年は、10人に1人だったのが
2020年には、4人に1人以上です。
そして、高齢化に伴い中位年齢も高くなりました。
中位年齢とは、人口を年齢順に並べ、
その中央で全人口を2等分する境界点にある年齢です。
概念は平均年齢と思ってもらってかまいません。
それが、
1985年(昭和60年) 32.5歳
2000年(平成12年) 41.5歳
2020年(令和2年) 48.7歳
1985年バブル直前の頃は、
平均年齢が32歳ですから
街も元気だったはずです。
若いときは、朝まで遊んでいた
と、良く聞きますが
ほとんどの人が若者だったわけだから
朝まで遊んでいた人が多く
その分活気があったのも当然です。
それが、2020年には
48.7歳です。
32歳と48歳では
落ち着き具合も違うでしょう。
消費の仕方も違うでしょう。
だから、日本の雰囲気も変わってきて当然なのです。
1人世帯が増え、平均年齢が上がってきているのですから
会社に勤めている従業員の平均も変わってきているはずです。
1人世帯が増えているのだから
自分に都合良いように時間などを調整するでしょう。
悪く言えば、自分勝手な人が増えても当然でしょう。
そして、
平均年齢も上がってきているのだから
保守的な考えが充満し、チャレンジ精神は
少なくなることもあります。
だから、マネジメントも変わっていかないといけないし
チャレンジをしたい、チームワークを作りたいというならば
昔よりは、労力が必要になってくるはずです。
つまり、
日本の時代変化は
・高齢化
・世帯人員の変化
により
保守的、より個性的(自分の時間が大切)になったのです。
元データ
https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2020/kekka/pdf/outline_01.pdf
https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2005/sokuhou/04.html
https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1291.html
https://www.stat.go.jp/data/sekai/0116.html#h2-01