銅 薬味おろし ふたやく
次です。7cm四方という、手のひらにちょうど乗るサイズの美しい銅製品ですが、これは何かというと薬味おろし金です。東京・葛飾区にある江戸幸 勅使川原製作所の「銅 薬味おろし ふたやく」。
これを購入したのは、80代になる熟練職人が新作に挑んで完成させたおろし金であるというところにまず惹かれたのが、理由のひとつ。次に、これは職人さん本人から聞いたのですが、「ショウガなどの薬味を『切るようにおろせる』」という言葉に、がぜん興味を抱いたんです。実際に使ってみると、切るようにおろすから、力は要らないし、そのうえ適度な水分を含んだ状態で仕上がるので、薬味がとても瑞々しく、おいしくなります。おろす面の刃はすべて手作業で立てているそう。機械ではここまで鋭くできないらしい。
ここの銅製品は料理人たちに愛されている逸品ぞろいと聞きますが、なぜ80代にもなってわざわざ新しい商品づくりに挑戦するのかと尋ねたら、「こういう手仕事を続けている職人がいたのだなあ、と、使う人がいつか思い出してくれれば」との思いからだといいます。だったら、私もそのひとりになろうと思い立って購入しました。ささやかながら職人仕事を応援できればと。
値段は…1万2100円です。まさかこんなに高価な薬味おろし金を私が買う日が来るとは思ってもいませんでした。でも、使い心地に満足しているだけでなく、手に取ったときの心躍る感覚がまたいい。手仕事ゆえ、月に50個つくるのが限界だそうなのですが、出荷するたびに即完売という状態というのもうなずけます。