人はこの先も自由に移動できるのか?
ちょっとおおげさなタイトルを掲げてしまい恐縮ですが、私たちが移動の自由をこれらも確保するには、いくつもの課題があります。
クルマに関してはCO2排出などの問題があり、また、クルマ本体を製造するにも資源枯渇問題にどう対処するかが問われます。さらに、環境問題をクリアするクルマを作ることができたとしても別の困難も無視できません。高齢となった方々がクルマを安全に操れるかどうか。公共交通機関の手薄な地域ではどうするのか。また、人の移動以外にも克服すべきハードルはありますね。人手が少なくなるなかでも物流の利便性は確保できるのか。
ここに国際間競争も絡んできます。電気自動車(EV)などの次世代型自動車の開発において、日本は一定以上の地位を確保できるのかも気になります。
11月5日まで催されている「ジャパンモビリティショー2023」に行ってきました。これまで「東京モーターショー」として開催されていたイベントでしたが、今回はその名を変えての開催です。私はこの改称を理解できます。
この先を考えると、クルマ単体で課題解消するのではなく、移動するための手段や機構(モビリティ)を社会のなかにどう据えるか、全体像を捉えながら手立てを講じる必要があります。その全体像を構成する要素は、従来のようなかたちから進化させたクルマかもしれませんし、超小型のパーソナルなものかもしれません。また、当然ですがドローンのような空飛ぶ装置も大事な位置を占めるでしょう。
それぞれの存在が、移動を自由にできる社会の何を担うのか、そこが重要になってくるわけですから、その意味で今回のイベントで「モビリティ」と銘打つのは必然と言ってもいい。実際、この改称を受けてでしょう、自動車業界以外の企業やスタートアップが数多く出展してもいました。
では、今回の「ジャパンモビリティショー2023」は、私たちに近未来像を本当に感じさせてくれる内容だったのか。言い換えれば、単なる車両展示が中心のイベントではなくて、それぞれのモビリティが社会にどのように実装され、その結果、どのような未来を切り拓こうとしているのか、そのビジョンが明確に示されているか。私はそこを確かめたかった。2日間かけて会場をめぐってみました。
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