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マネジメント

第144回 『会社にとって何がベストか?』

社長の右腕をつくる 人と組織を動かす

 
いい会社と悪い会社の差のひとつは、
社員の年齢とか性別とか学歴や地位に関係なく、
《 What is best for the company ?(会社にとって何がベストか) 》という
発想と発言ができる風土にあるか否か…に、あると私は思う。
 
《誰が言ったかではなく、何を言ったかが重要である》という雰囲気である。
 
《 I Feeling 》に対する、《 We Feeling 》ともいえよう。
I というのは狭い意味での自分や自分が所属する部署の利害に関係する範囲をいうが、
We は、広い範囲での会社全体の利害関係を指す。
 
では、どうしたら、《 We Feeling 》を高めることができるのか?
 
ひとつには、会社全体の目標と各部門を構成している各個人の目標との間に
一貫性のあることが必要である。
 
当たり前すぎる話だが、会社目標に沿った部署、または個人目標を明確に作るのである。
これによって部分である部署の目標達成が会社のそれと直接連動し、《達成感の一体化》が期待できる。
つまり、《自分主義》と《全体主義》の間に両立性をもたすことができるのである。
 
会社、部門、部署、個人…の目標の間に食い違いやギャップがあってはまずい。
それは、目標自体に問題があるか、会社目標を組織のユニットにおろすシステムが弱体なのか、
コミュニケーションに問題があるからであろう。
 
こうしたことを、逆に社員としての個人の側面から考えてみると、
意図的にとかくおちいりがちな《 I Feeling 》だけから脱却して、
《 We Feeling 》に自分の考え方のチャンスを合わせるほど、
ビジネスマンとしての自分の厚みを広げることになる。
 
あえて、ビジネスマンなら誰でも聞いたことのある表現を引用するなら・・・
 「平社員の時は係長の仕事を、係長になったら課長の仕事を、
  課長になったら部長の仕事を、取締役になったら社長の仕事を…」
という、いまの自分の立場より一段、二段上の仕事にチャレンジすると同時に、
ただ単に、自分の部署や部下の利益代弁者であるに留まらず、
底辺には、《 Best for the company 》というコンセプトを持っていることである。
 
一方、会社側が社員の《 We Feeling 》なり《 Best for the company 》感を育てるためには、
経営者自身が社員の考え方を誘導・助長し、チャレンジする態度を常にとる必要がありそうな気がする。
 
「この世で最も自分の耳に快く響くもの ―― それは自分の名前」という言葉がある。
「人間とは本質的には自己中心的動物」という表現も、昔読んだ覚えがある。
 
《それほど大切な I を脱却して We へ 》《 自分の部署の利益から会社全体のベストへ 》 。
かなり難しい命題ではあるが、この壁を乗り越えた人のみが本当の意味でもう一つ成長するわけだ。
 
そういう人から成り立った会社のみが、発展できるのではないだろうか。
 
 
 

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