消費者が諦めていた部分に斬り込んだ商品は強い
この連載で何度も綴ってきたことがあります。
「消費者が諦めていた部分に斬り込んだ商品は強い」という話です。
どういうことか。
「消費者が諦めていた部分」というのは、簡単そうで実は捉えづらいという側面がありますね。
消費者自身がハナから「まあ、致し方ない」と思い込んでいるために、マーケティング調査などをかけても、そうした部分は掘り起こしにくいのです。
となると、企業の側から先回りするかのように、「こういうところって、もう無理なんだと決めつけていませんでしたか」と救いの手を差し伸べるほかありません。
それをなすためには、企業の開発担当者みずからが想像を必死に巡らせること、これに尽きると表現してもいい。答えは開発担当者ご自身の中にこそあるという話です。
このコラムで綴った過去の例を改めて振り返ってみましょう。例えば2023年5月にお伝えした「四万十川天然鮎のコンフィ」。
極上の天然鮎をいつでも食べられるなんて無理だ、とか、天然鮎を旅先で買って遠くまで持ち帰るなんてできない、とかいった部分への答えを導き出しています。わざわざ缶詰にしたことで、全く諦める必要はないんですよとアピールするに至りました。
あるいは、少し前になりますが、2022年4月に綴った「レトルト亭」もこう事例です。コンロも鍋も、あるいは電子レンジも耐熱容器も使わずに、カレーなどのレトルト食品を温める方法などない、と多くの人が思っていたところに、このキッチン家電が登場しました。
本体にレトルトを入れてスイッチを回すだけで温めが完成します。意外と温めるのは面倒という声なき声を察知して、まさに企業が先回りした結果のヒットです。
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