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製造業

第219号 反射の仕事をやめよう

柿内幸夫─社長のための現場改善

 先回、日本経団連主催の洋上研修に参加して「今回も経営の変革に関しての発見が、たくさんありました」と書いたのですが、読者の方から「そう言う割に、少ししか書いていない」というご指摘がありました。
 確かにそうかもしれないと思ったのと、私自身下船して時間が経つにつれ、洋上研修の持つすごさが改めて分かって来たことも多いので、今回はその点についてご報告いたします 。ちなみに、下の写真は、研修のひとコマ、「甲板での朝礼風景」を撮影したものです。

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 さて、今回の研修の総合テーマは、「強い組織・熱い職場をつくる」です。というのも、普段の仕事生活におけるテーマというと、「コストダウン」、「品質向上」、「売り上げアップ」、「在庫削減」といった、即経営に貢献する具体的なものが多いことでしょう。

 そういう環境で、「強い組織」の方はまだしも、「熱い職場」というような青くさいテーマが語られることは、まずないのではないかと思います。もしそんなこと言ったら笑われちゃうかもしれません。

 しかし、「人間の心と仕事のかかわり」という、まさに人生と直接に対峙するような議論によって、これまでどうにもならずに諦めかけていた問題が、驚いたことに解決できてしまったというようななことが、私の目の前でたくさん起きました。「どういうことかな?」と不思議に思ったのですが、後になってこうなのではないかと考えました。

 やはり私たちは、人生のかなりの部分を仕事に費やすにもかかわらず、その土台ともいえる心の基本的なところをしっかりと構築せずに、飛び越えて仕事をしてしまっている。すると結果として、あっちへフラフラ、こっちへフラフラ・・・するのかもしれないと気付いたのです。

 改めて、町で本屋さんの棚を眺めてみると、そういうことに関する本はびっくりするほど並んでいます。しかし、それらを読んでいる方は多いと思いますが、それは偉い人が言っていることを知識として持っているに過ぎず、なかなか経験を通した本当の納得とはならないでしょう。

 しかし、船上でいろいろな人と時間をかけて言葉を使ってやり取りしているうちに、自身の心に自ら作り出した答えが生まれるということだと思いました。

 哲学というと大袈裟かもしれませんが、私は仕事と人生といったことを考えるのが好きなので、管理・監督者の方々の真剣な論議に深い共感を覚えましたし、みなさんの大きな変貌に納得したのです。

 もう一つは、その過程で必要な「考える」という動作です。私たちの脳は前頭葉を使った「考える」という仕事と、脊髄を使った「反射」するという、大きく分けて二つの仕事をしています。

 そこで日常の仕事はどういう感じかなと見てみると、「考える」というよりはむしろ「反射する」に近いのかもしれないと思っています。

 例えばゲームをしている人を見ると(新幹線での隣の席の人が、長い時間ずっとゲームに夢中ということはよくあり、その時はその人の画面を横目で眺めて観察することがあります)、どちらに行くかの選択の場面に来ても腕を組んで考え込んだりしません。

 すごいスピードで選んで、ドンドン進みます。常に反射神経で対応しているようです。多くの方が一日中パソコンの画面を眺めた仕事をしているのですが、まさにこのゲームの感覚かもしれないですね。

 しかし、「強い組織・熱い職場をつくる」という選択肢が出てこない自分で言葉を探さなければならないような、反射神経でなく思考回路を使う場に身を置くことにより、今までと違う脳力を開発されたのではないかと思いました。

 私たちは毎日を追われるように過ごしていることが多いのですが、ちょっと考えてみましょう。ただ反射して業務をさばいているだけでは、この状況は変えられません。ずっとこのままです。

 「本当にこのやり方が正しいのか?」「別のやり方がないか?」「自分の知らないことがあるのではないか?」と、しっかり考えて改善することが必要でしょう。それも、一人でやらないで何人かの仲間で考えるのです。

 今回の洋上研修で団員のみなさんはもちろんですが、実は講師の私も今回のようなことが言えるようになりました。相当学ばせて頂けたということです。団員のみなさんお世話になりました。ありがとうございました。

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copyright yukichi

※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。etsuko@jmca.net

 

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