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第6回社長が「正しさ」を発見するためにすべきこと

リーダー脳の鍛え方

今、社長の方も、これからいずれ社長になるひとも、自ら学ばなければ、法人の成長に繋がっていかないことは言うまでもないことでしょう。

しかし、人は、「どうやって学ぶか?」を考えることは多くないでしょう。私自身は、知識を多く身につけること以上に、学び方をずっと究めてきました。

例えば、医学論文は、脳のことに限らず、可能な限り広く浅く情報を収集します。米国に在住していた頃は、ミネソタ大学の図書館に1年間ほぼまるまる通って、図書館中をしらみつぶしに探索しました。

そこには、驚いたことに第二次世界大戦中に発刊された日本の医学雑誌が平然と置かれていました。のちに聞けば、ミネソタ州には、日本の情報を収集する部隊があったという噂を聞きました。ことの真偽は定かではありませんが、戦争中の日本の医学雑誌が置いてあることは事実です。その頃、日本では、神社仏閣の鐘などが没収され、武器製造に使われていた急務の国家の様相を考えれば、かなり余裕の情報収集活動であったことが思い当たります。

では、社長の情報収集活動はどのようにすることがベストでしょうか。もちろん、情報を集めたからと行って学んだとは言えず、学ぶとは、集めた情報から何か、血肉となることを自分の一部にすることでしょう。

それでは、どうやったら、収集した情報を血肉に変換できるのでしょうか?

そこで、是非、紹介したい本があります。それは、本居宣長の「うひ山ぶみ」です。

恥ずかしながら1年間に本格的な読書と言えるのは片手に余るほどですが、この1冊は、受験浪人時代からの愛読書です。軽い難読症のために、私自身は他の人とは全く違った方法で本を読みます。私にとってベストな本は、まず、全文が短いこと。2番目に、詩のように選び抜かれた言葉が並んでいること。3番目に、時間が経っても字面が気になって見返したくなること。

今も私をやる気にさせてくれる「うひ山ぶみ」の一節を紹介します。

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不才なる人といへども、おこたらずつとめだにすれば、それだけの功は有物也。
又晩学の人も、つとめはげめば、思ひの外功をなすことあり。
又暇のなき人も、思ひの外、いとま多き人よりも、功をなすもの也。
されば才のともしきや、学ぶ事の晩きや、暇のなきやによりて、思ひくづをれて、止ることなかれ。
とてもかくても、つとめだにすれば、出来るものと心得べし。

—————————————————————————-

この一節は、浪人生の私をかなり本気にさせてくれました。不才な自分が、どうすれば自分の道にたどり着けるのか?

その簡単な答え「つとめはげめば、思ひの外功をなすことあり」でした。実際に、

4年前に出版した拙著「脳の強化書」(あさ出版)が、今年、ビジネス書の6位(日販調べ、トーハン調べ)になりました。自然科学の本が、ビジネス書に混じって広がりました。驚きでした。

さらに、「うひ山ぶみ」は、医学者になってからの科学研究におおいに役立ちました。

宣長の国学に向き合う学びの手法は「正しいことを発見する」ために有益でした。

—————————————————————————-

一人の生涯の力を以ては、こと/゛\くは、其奥までは究めがたきわざなれば、
其中に主としてよるところを定めて、かならずその奥をきはめつくさんと、
はじめより志を高く大にたてゝ、つとめ学ぶべき也。

—————————————————————————-

すべてのことを極め尽くすことができなくとも、「はじめより志を高く大にたてて」「つとめ学ぶ」ことは、学者でなくとも人の学びの筋になります。

さらに、

—————————————————————————-

道を学ばんと心ざすともがらは、第一に漢意、儒意を、清く濯ぎ去て、
やまと魂をかたくする事を、要とすべし。

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いろいろな思想や文章の中に、「やまと魂」に、「漢意、儒意」が入り込んで混じっていることを見抜いて、正しき「やまと魂」を発見すると説く宣長に感服です。

社長やそれに相当する役職の人は、正しいと思った事でも、「漢意、儒意」が入り込んで混じっていること、「他人の意」などを発見しなければなりません。

 

【今月の月刊脳番地トレーニング】

今月の月刊脳番地トレーニングは、「経営者として提示している方針が正しいかもう一度見極める」です。

御自身の方針に、「やまと魂」と「漢意、儒意」が入り交じっていないか、他人の意に惑わされていないか?純粋な自分の方針を再発見できるはずです。

是非、このテーマで、今月を過ごしてみましょう。経営者の脳の健康のために!

※学生時代は岩波文庫の「うひ山ぶみ」を熟読。現在は「うひ山ぶみ」(講談社)参照。

 

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