経験的に「80」という数字は、面白い数字である。
一番目。
組織の中では、社員・部下のヤリガイや幸せの「80%」程度は、上役次第で決まる。
二番目。
仕事というのは、完璧さを目標としているのであるが、
同時に“時間”との対決という宿命を背負っているので、場合によっては「80点主義」を採 るべきであろう。
理屈っぽい言い方になるが、“今日の80点が、明日の100点に優る”ことは往々にしてあり得るのである。
その際に大事なのは、目標としては完璧な100点の仕事を目標とすることと、あえて“今日の80点”を
選んだ場合の“不足分の20点”がいったい何であ るのかをはっきり知っておく必要があるということ。
判ってさえいれば、足りない分は後で補うことが可能だからだ。
三番目。
部下からの提案・稟議があった場合、それが目標に沿い戦略的に妥当である限り、戦術面では絶対「誤りである
という80%以上の確信」がない限り、ともかく部下の案をのんでやらせてみることが、上としては大切である。
しかも肝要なのは、部下が失敗をしたら、その責任は自分が負う覚悟でやらせることだ。
なぜ、80%以上の確信度が承認否認の基準なのか。
理由はごく簡単で、上といえども神様ではないから誤った判断をすることがあり得ることと、
幾分首をかしげる細かい部分あったとしても、部下にやらせることで訓練・動機づけになるからである。
四番目。
部下に注意を与えて矯正するポイントは、「80%を誉め、20%叱り・注意を与える」くらいの配分が望ましいのではないか。
この場合、同じ注意でもなるべく激励するような結果に終わらせるのが、プロの叱り方であろう。
「北風と太陽」の逸話ではないが、ひとは誰でも“認められたがっている”のである。
頭ごなしの注意は、かえって相手に反発をよんでしまう。80%の認め と誉めがあって初めて、
20%の叱りが激励として利いてくるのだ。
五番目。
ご存じの方も多いだろう。イタリアの経済学者・パレートの法則である「80対20の法則」。
この法則は、入力の20%が出力の80%をもたらしているというものであり、例えば、自社の売上を分析してみると、
その80%は、上位20%の商品や顧客で構成されている、ということを示している。
したがって、資源配分からいけば、均等にというのではなく、効果をもたらす可能性が高い20%に対して注力すべきなのだ。
(実際は、とかく効果のないところに時間と金をかけがちでしょう…)
そしてもし、事柄が複雑にからんで重点のかけ方が判らなくなった時は、必要度・重要度の面から、
たて軸に、“なくてはならない → 望ましい → なくてもよい”を、
よこ軸に、“影響が強い → 影響が中位 → それほど影響がない”
を置いて分解してみるといい。
本当に重要なものは、アイテム数としてはごくわずかしかないということが判るだろう。
六番目。
20%は過去を、「80%は現在と未来」を視るようにしよう。
“老人は過去を語り、青年は未来を語る”というが、いつまでも過去を振り返っても仕方がない。
過去は、現在と未来を展望するために視るものなのだから…。
注意を向ける配分は、20%が過去を、80%が現在・未来というのがよろしいようだ。
多少のこじつけはあったが、以上の例からもイメージいただけるように「80」という数字は、
日常の仕事や生活の中でカギ となる数字である。
この項、全部でなくともいい、80%ぐらい賛成いただければ、お互い書いた甲斐も読んだ意味もあったというもの。
新 将命