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製造業

第204号 機能別職場から商品別職場へ

柿内幸夫─社長のための現場改善

 下の写真は、晴れた日のお昼ごろに東京の小田急線車内で撮った最近ある日の様子です。良く見ると車内の蛍光灯が消えています。節電のためということです。
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 私は全く気付かずに読書をしていたのですが、車内放送によって消灯していたことに気付きました。私は老眼なので暗いところでは字が読めないはずですから、この日の車内は十分に明るかったといえるのです。

 その気になって周囲を見渡すと、まだまだ、電気を消しても十分に明るいところはあるものです。

 夏場の電力不足が心配されていますが、日常の節電もかなり効果があるものと思います。日本の復興のための一助として、みんなで節電のチエを出し合いましょう。

 さて、先回まで「最強のモノづくり」におけるレベル2の「工程間の流れ」について、品質と段取り替えの改善を中心にお話しして参りました。

  レベル0:ダンゴ生産

  レベル1:工程内の流れ

  レベル2:工程間の流れ

  レベル3:工場内の流れ

  レベル4:工場間の流れ

  レベル5:お客様への流れ

  レベル6:一気通貫の流れ

  このなかの「レベル3」では工場内の流れをつくります。これまでお話ししたレベル1とレベル2では、工程内および工程間のつなぎなどの技術的な考え方を中心に改善を進め、設備の内製化や段取り替え時間短縮あるいは品質向上などを学びました。

 そして、今回のレベル3からは、これまでの改善結果をベースにした上で、更に流れのレベルを経営的な方へと変えていくことになります。

 つまり、レベル2で機能別に職場が組織されていた工場であれば、レベル3からは工場が商品別に素材から製品への流れができている商品別職場へと変えていくことになります。商品ごとの専門ラインが何本も引かれるようなイメージです。

 まずは、「機能性職場」と「商品別職場」の違いを、スーパーマーケットでの買い物にたとえて説明します。

 もし夕食にカレーを作ろうとすると、野菜売り場と、肉売り場と、調味料売り場に行って、それぞれの材料を揃えます。

 一方、すき焼きの準備をするのであれば、野菜売り場と、肉売り場と、豆腐売り場などでしょうか。

 さらに言えば、同じ肉売り場でも、買う肉はカレーとすき焼きとでは違いますよね。これが機能別の売り場です。

 これが商品別の売り場ですと、カレーコーナーとすき焼きコーナーがあって、それぞれのコーナー内に必要な専門の材料が揃っているという感じです。この場合はあっという間に買い物が済むことになるでしょう。

 下図のように、レベル2では例えば 機械加工職場 ⇒ 塗装職場 ⇒ ユニット組み立て職場 ⇒ 最終組み立て職場 といった機能別になった職場が、レベル3では A商品職場、B商品職場、C商品職場 のような商品別職場となるということです。

kaki204-2.gif

 機能別のレイアウトになった理由は、工程ごとの設備能力の違いや品種ごとの工程時間のバラツキなどを考えると、そうせざるを得なかったかもしれません。

 例えば、高価なプレス機を何台も持つわけにはいかないので、一台のプレス機を段取り替えをしながらいろいろな品種に合わせて使うわけです。

 この機能別のレイアウトは、経済が右肩上がりで推移し基本的にモノ不足の状態のときは、人も設備も即戦力としてすぐ使える分業の考え方が効果的でした。

 しかし、モノが売れない時代となると、プロダクトアウトの考えが通用しなくなりました。そして、次にマーケットインの時代になると、機能別レイアウトの職場では「スリム性とスピード性に欠ける」という点が経営の足かせになり始めました。

 そこで、それらの制約が少ない商品別職場への転換が求められるようになってきたということです。しかしご安心頂きたいのですが、レベル3になるためにはレベル2を捨てるということではありません。

 機能別職場の良いところはもちろん残します。レベル3にすることによって良くなる点をしっかり考えて、一歩一歩前進すればいいのです。

 大きな変化が求められていると思います。固定観念を捨てて大きな変革にチャレンジしましょう!

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copyright yukichi

※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。etsuko@jmca.net

 

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