建築・飲食・不動産・メーカー…あらゆる業種業態の企業で経営改善を実現。人気番組「情熱大陸」にも出演し、大きな反響を巻き起こす経営コンサルタント・横田尚哉氏に、見える化のメリットや思考法、具体的な実践論などをお聞きしました。
■横田尚哉 (よこたひさや)氏/ファンクショナル・アプローチ研究所 代表取締役社長
10年間で総額1兆円分の事業の改善に乗り出し、コスト縮減総額2,000億円を実現させた実績を持つ業界屈指のコンサルタント。氏の改善手法は業種や規模を問わず、業務の効率化、新事業開発、企業変革にも応用可能で、コンサルティングサービスは半年待ち。著書に『ワンランク上の問題解決の技術《実践編》視点を変える「ファンクショナル・アプローチ」のすすめ』、『ビジネススキル・イノベーション』、『第三世代の経営力』、『問題解決で面白いほど仕事がはかどる本』など多数。音声講座『業務の見える化』(日本経営合理化協会)、『儲かる会社をつくる技法』(日本経営合理化協会)がある。
変化が激しい今こそ、業務を「見える化」せよ
なぜ、今「業務の見える化」が必要なのでしょうか。
まず、私は今の時代の企業経営を、カヌーに乗って急流を下るようなイメージで、考えています。 カヌーというのは前に岩があったり、落差があったり、滝があったり、次々に多様な障害が出てきますが、それらを上手くかわしながら、水の流れを瞬時に捉え、舟を前に進めていくスポーツです。
つまり、今の時代の経営は、社会環境が目まぐるしく変わり、先が見通しにくい状況の中で、素早い正確な判断が求められるということです。
カヌーに乗って急流を下るように、急に向きを変えたり、速度の緩急をつけたり、障害物に当たらないように調整しながら、刻々と変わる状況を捉えて経営していくのが、今の時代。だからこそ、今の業務が「見える化」できないといけません。
日頃から、自社の業務を「見える化」しておけば、世の中の変化に合わせて柔軟な対応ができます。自社の現状を正確に把握して、次の手が打てるようになる。これが、「業務の見える化」が必要と思う一番の理由です。
変化の兆しを素早く捉えるための「見える化」
「見える化」を進めるにあたり、重要な視点はありますか?
とにかく変化を早く捉えることが大切です。なぜなら、変化を捉えられず、時間がたって問題が大きくなってしまってからだと、その時の対応が大変だからです。
その変化の兆しを見つけるうえで、日頃から「見える化」が出来ていれば、「何かちょっと違う数字が出てきたな」とか、「目標数値からかなり離れているな」とか、具体的な指標が見えてくるので、「もしかしたら、これは大きな問題に発展する可能性があるな」と、気づくことができます。
目標成果に到達しなかったことに、最後になって気づくのでは手遅れです。最後の結果しかわからないということではなく、早いうちに状況の変化を捉えることが必要です。「見える化」で、「変化の兆しに気づく習慣」がつくのです。
「見える化」で共通のものさしがつくられる
「見える化」で、職場はどのように変わりますか?
「業務の見える化」ができると、数字が社員全員で共有できるようになります。つまり、共通のものさしが出来上がるということ。これができると、社長が測ろうが、管理者が測ろうが、担当者が測ろうが全部同じ数字になっていきます。そして、良い悪いというのが明確になる。現状の理解に齟齬が生じず、社員が同じ共有になります。
「業務の見える化」というと、業務が丸見えになる、社長が見たら従業員の業務が丸見えになっているというように思われる人も多いですが、そうではなく、現場の人、担当の人、そして社長が判断しやすくなるということです。
自分たちの業務・仕事が単なる手段ではなく、目的を意識した活動になっていきます。それが、無駄や無理をなくすことにつながります。
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