4月23日から、東京のホテルニューオータニ近くの紀尾井町特設会場で開催されている「Volez, Voguez, Voyagez – Louis Vuitton(空へ、海へ、彼方へ ── 旅するルイ・ヴィトン)」展に行ってきた。
これは1854年の創業以来、ルイ・ヴィトンがこれまで作ってきた旅行用トランクなど約1,000点を10テーマに分けて展示しているもので、移動手段が馬車、船(ヨット)、列車、飛行機、自動車などと変わることによりトランクの形状も変化してきたことがよく分かる構成になっており、それぞれの時代の富裕層のライフスタイルも垣間見ることができた。
この展示会は、2015年12月4日〜2016年2月21日までパリのグラン・パレで行われたものの巡回展だが、パリでの開催場所となったグラン・パレは、1900年に4,800万人が来場したパリ万博のために建設された建物で、この時ルイ・ヴィトンはメリーゴーランドを模したブースを出店して話題になった。
日本でも、1978年に日本初のルイ・ヴィトン店がオープンした縁のある紀尾井町に特設会場を設置したとのことだが、2代目のジョルジュ・ルイ・ヴィトンは日本の「紋」などの模様に興味を持っており、代表的な図柄である「モノグラム」のインスピレーションの1つとも言われているなど、日本との関係も深いため、日本関係を集めたテーマが加わっており、3代目のガストン・ルイ・ヴィトンがコレクションしていた日本刀の鍔(つば)や木箱、板垣退助や白洲次郎が愛用していたトランク、草間彌生や村上隆など日本の現代アーティストとのコラボレーションバッグの展示などがあった。
この展示会は、高級ブランドとしての「ルイ・ヴィトン」の歴史に接してもらい、ファンを増やすための企画と思われるが、旅行手段の変化に対応した商品作り、それぞれの顧客の要望に対応し、評価と信頼を得ることによりブランド価値を築き上げてきたことなどが窺い知れる内容で、経営者視点で見ると参考になる点も多い。
また、スマートフォンの公式アプリ「LV Tokyo Expo App」を利用すると、工房や展示してある3代目ガストンのスケッチブックの中身をページをめくりながら見れたり、トランクに自分のイニシャルを入れる画面上のシミュレーションや、桜吹雪の中での写真撮影などのバーチャル体験もできるようになっているし、音声、ビデオ、文章による解説もあるので、アプリを使いながら観てゆくことをお勧めする。