千葉県柏駅前のマルイ館を改装して10月27日にオープンした「柏モディ」は、地元客の声をもとにアパレル比率を50%から30%に抑え、飲食・カフェを2店から6店に増やすなど、使い勝手のよい店に生まれ変わっている。
大型書店が地域になくなったことから5階にジュンク堂を入れ、1階には朝7時にオープンする「コメダ珈琲店」、7時半にオープンする焼きたてパンの「ドンクエディテ/ミニワン」などを配置している。
昔の柏は若者の街だったが、最近は若者から中高年まで幅広い層が対象になっており、世代を問わず、柏駅や商店街の利用者、近隣の住民の日常をサポートするライフスタイル型の施設を目指している。
ファッション店ではユニクロやザ・スーツカンパニーなども入っているが、2階にあるマルイ直営の「アールユー・ラクチンきれいパンツ体験ストア」が注目だ。
ここはXXS〜7L(ウエスト55〜88cm)までの12サイズを揃えた婦人用パンツ(ズボン)店だが、在庫は持たずサンプルだけを置き、客は試着した後にネット注文し、商品は自宅に宅配で届く仕組みになっている。
マルイは婦人靴でネットと店舗の両方を組み合わせた「オムニチャネル化」を成功させているが、「アールユー」はこれをパンツに応用している。
国内総供給点数(27億8,500億点)から国内総消費点数(13億6,200万点)を差し引くと半分が売れ残っている計算になるが、最近のファッション店は在庫が積み上がっているため、店舗とネット販売の在庫管理を統一するオムニチャネルが注目されている。
今後はこれをもう一歩進めた、「アールユー」のような店舗に在庫を置かない「ショールーム型店」も増えそうで、百貨店の高島屋も立川、柏、高崎、岐阜、岡山、米子にショールーム型店を出店している。
■ショールーム型店
ショールーム型店にはマルイのような実店舗販売がEC(ネット販売)を始めたところと、EC店がショールームを開設したものとの2種類があるが、EC店のショールームは店舗への集客力をネットからと割り切っている場合が多く、通りがかりの人をターゲットにしないため、いい場所に店舗を作る必要がなく、在庫スペースも不要のため家賃が安くすむし、店舗で購入の場合もネットで決済するので現金も扱わない。
日本も含めて世界中でネット販売はまだまだ伸びており、中国では今年も11月11日の「独身の日」にネット販売の巨大イベントが行われ、去年を32%上回る1,207億元(1兆8,000億円)を売り上げたというが、実店舗の方は、全国百貨店売上高が9月まで7ヶ月連続で前年を下回るなど苦戦が続いており、ショールーム型店など新たな試みが増えていきそうだ。