数年前までは行列店といえば、原宿のパンケーキ専門店やポップコーン店が多かったが、最近はグルメバーガー(高級ハンバーガー)の行列が多くなっている。
この傾向は、2015年11月13日に東京・外苑前にオープンした「シェイクシャック(Shake Shack)」日本1号店が3時間待ち行列になった頃からで(
第165回参照)、去年3月4日に東京・秋葉原にオープンした「カールスジュニア(Carl's Jr.)」日本1号店(
第173回参照)、原宿の「ザ・グレートバーガー(THE GREAT BURGER)」などにも行列ができていた。
今年3月に相次いでオープンした「ウマミバーガー」、「ザ・カウンター」もやはり行列ができているが、それぞれに特徴がある。
■ウマミバーガー(UMAMI BURGER)
3月24日に東京・表参道にオープンした「ウマミバーガー」は、アメリカ人の父と日本人の母を持つ創業者アダム・フライシュマンが「うま味」を最大限に引き出す調理法を確立して作りあげたハンバーガーで、店名もそのまま「UMAMI BURGER」としている。
「うま味」は甘味、酸味、塩味、苦味と並ぶ5つ目の基本味の一つで、うま味物質としてグルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸などが知られている。
1908年に東京帝国大学(現東京大学)・池田菊苗博士がグルタミン酸が、昆布だしの主成分であることを見出し、昆布からグルタミン酸を取り出すことに成功したことで国際的にも認められる5つ目の味となった。
うま味成分には、和食で用いられている昆布や鰹節だし(イノシン酸)やシイタケ(グアニル酸)などがあるが、西洋料理ではブイヨンやコンソメ、トマト(グルタミン酸)、チーズなども使われている。
「UMAMI BURGER」で私は「ウマミバーガー」(1,380円)を食べたが、中にパルメザンフリコ、ローストシイタケ(日本のシイタケ)、ローストトマト、キャラメルオニオン、ウマミケチャップなどのうま味成分を含む素材が入っていた。
2009年に米ロサンゼルスに1号店をオープン後、2010年には雑誌「GQ」の「ベストバーガーオブザイヤー」を受賞、現在米5州に24店を展開しているが、今回、海外初進出として東京に出店した。
■ザ・カウンター(THE COUNTER)
3月31日に東京・六本木の東京ミッドタウンB1Fにオープンした「ザ・カウンター(THE COUNTER)」は、ホルモン剤を使用せず育てた「100%アンガス牛肉」、「チキン」、「ビーガン ベジタブル」、「サウザン フライドチキン」、「マヒ マヒ」の5種のパテ(中身)、「ブリオッシュ」、「マルチグレイン」、「イングリッシュ マフィン」、「チャパタ」の4種の挟むパン、13種のチーズ、野菜、ソースなど、80種類以上の食材を自分の好みに合わせて自由に組み合わせることができるため、100万通り以上のカスタマイズを楽しめるハンバーガーレストランだ。
もちろん最初は戸惑うので、お店がすすめる組み合わせの「ザ・カウンターバーガー」や「シグネチャーバーガー」を注文することもできるが、何度か通うといろいろ試せるので飽きがこない。
2003年に米ロサンゼルスのサンタモニカで創業後、アメリカ以外にもガーナ、アイルランド、マレーシア、メキシコ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦の7カ国で42店舗を展開し、今回、日本にも登場した。
パンケーキは見た目の違いが主だったが、グルメバーガーはそれぞれに工夫された顕著な特徴があり、今後も新たな出店がありそうだ。